(食品安全情報2023年17号(2022/08/16)収載)
米国疾病予防管理センター(US CDC)は、米国食品医薬品局(US FDA)、テキサス州保健局(TDSHS)およびその他の州・地域の当局と協力し、テキサス州ガルベストン湾の採捕水域「TX1」で採捕された生牡蠣に関連して複数州にわたり発生したノロウイルス感染アウトブレイクを調査している。
TDSHSおよびフロリダ州保健局(FDH)は、「TX1」で採捕された生牡蠣の喫食に関連して患者が発生していることをFDAに通報した。2022年12月8日、TDSHSは、2022年11月17日〜12月7日に当該水域で採捕された全ての牡蠣の回収を発表した(以下Webページ参照)。
https://www.dshs.texas.gov/news-alerts/dshs-recalls-oysters-harvested-area-southeastern-galveston-bay
また、この情報は全米貝類衛生協議会(ISSC)にも提供され、同協議会に加盟するその他の州に通知された。これを受けて、その他の州はISSCの協定にもとづき回収措置を開始した。
2023年4月11日時点で、ノロウイルス感染患者計322人が7州から報告されている。テネシー州の複数の飲食店および小売業者が「TX1」で採捕された生牡蠣の供給を受けていたが、同州から患者の報告はなかった。CDCは、各州・地域の当局と協力し、本アウトブレイクの患者数をより正確に特定するための調査を進め、情報を更新していく予定である。
ノロウイルスは、米国で発生する食品由来疾患の主要な原因となっている。しかしながら、州・地域・領土の保健部門には、ノロウイルス感染患者の発生を国のサーベイランスシステムに報告することは義務付けられていない。したがって、特に医療機関を受診しない場合など、多くの患者の存在が把握されていない可能性がある。米国では、ノロウイルス感染アウトブレイクが毎年約2,500件報告されている。ノロウイルス感染アウトブレイクは年間を通じて発生しているが、11月〜翌年4月の時期に特に発生件数が多くなる。
州・地域の公衆衛生当局は、患者が発症前1〜4日間に喫食した食品について聞き取り調査を行っており、患者の多くが生牡蠣の喫食を報告した。
州・地域の当局は、患者が食事をした飲食店から牡蠣の供給元に関する情報を収集した。FDAは、汚染された可能性がある生牡蠣がテキサス州ガルベストン湾の採捕水域「TX1」で採捕されたことを確認した。FDAおよび州当局は、当該生牡蠣の出荷先を特定し食品流通チェーンから確実に除外されるようにするため、前向き追跡調査を行っている。