英国食品基準庁(UK FSA)からのカンピロバクター関連情報
https://www.food.gov.uk


2001〜2020年に英国産市販鶏肉から検出されたカンピロバクターの抗菌剤耐性(AMR)の傾向
AMR in Campylobacter in UK chicken over the last 20 years
28 September 2022
https://www.food.gov.uk/print/pdf/node/12056(PDF版)
https://www.food.gov.uk/news-alerts/news/amr-in-campylobacter-in-uk-chicken-over-the-last-20-years

(食品安全情報2022年25号(2022/12/07)収載)


 英国食品基準庁(UK FSA)は、2001〜2020年に英国産市販鶏肉から検出されたカンピロバクターの抗菌剤耐性(AMR)に関するデータを解析し、その報告書を発表した。

 この調査の目的は、当該20年間の傾向を調査し、将来的に見込まれる抗菌剤耐性の低下を評価するためのベースラインを提示することである。

 抗菌剤耐性とは、抗生物質などの抗菌剤の殺菌効果に対し、細菌が耐性を獲得した状態である。細菌がこの耐性を獲得することで、当該細菌によるヒトの感染症の治療に抗菌剤を使用することが困難になる。抗菌剤耐性はカンピロバクターを含むすべての細菌で出現し得る。カンピロバクターは先進国における細菌性食中毒の主な原因菌であり、英国では毎年50万人を超えるカンピロバクター症患者が発生していると推定される。

 FSAは2000年に設立されて以降、英国全域を対象に市販鶏肉のカンピロバクター汚染に関するいくつかの調査とサンプリング検査を委託実施している。検出されたカンピロバクター株の大多数について、様々な抗菌剤への耐性を調査するため詳細な検査が行われている。

 本報告書では、この調査の対象に含まれる5種類の主要な抗菌剤について、抗菌剤によって耐性率が異なることが示されている。キノロン系抗菌剤(シプロフロキサシン、ナリジクス酸)耐性およびテトラサイクリン耐性は、鶏肉から最も一般的に分離されるカンピロバクター株(Campylobacter jejuniC. coli)で広く認められた。これに対し、エリスロマイシン耐性およびストレプトマイシン耐性は、検査されたカンピロバクター株では比較的まれであり、ゲンタマイシン耐性は非常にまれであった。

 消費者自身が抗菌剤耐性細菌への曝露を低減できる効果的な方法がある。それは、調理器具・設備表面を適切に洗浄すること、食品を十分に加熱すること、食品を適切な温度で冷蔵すること、他の食品や調理器具・設備表面との交差汚染を防ぐため食品を衛生的に取り扱うことなどである。生のまま喫食する果物や野菜については、目に見える汚れや細菌汚染を取り除くため、必ず十分に洗浄するか皮をむくようにする。

 抗菌剤耐性に関する詳細情報は、FSAの以下のWebページから入手可能である。
https://www.food.gov.uk/business-guidance/antimicrobial-resistance-amr

また、本報告書全文(PDF)は以下のWebページから入手可能である。
https://www.food.gov.uk/research/levels-and-trends-of-antimicrobial-resistance-in-campylobacter-spp-from-chicken-in-the-uk



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部