英国食品基準庁(UK FSA)からのカンピロバクター関連情報
https://www.food.gov.uk


英国食品基準庁(UK FSA)が国の行動計画(NAP:National Action Plan)の一環として英国の市販子羊肉・七面鳥肉における抗菌剤耐性(AMR)に関する初めての調査結果を発表
FSA publishes first AMR survey of UK retail lamb and turkey meat as National Action Plan continues
24 February 2022
https://www.food.gov.uk/print/pdf/node/8416(PDF版)
https://www.food.gov.uk/news-alerts/news/fsa-publishes-first-amr-survey-of-uk-retail-lamb-and-turkey-meat-as-national-action-plan-continues

(食品安全情報2022年12号(2022/06/08)収載)


 本報告書は、英国において2020年10月〜2021年2月にかけて市販の子羊肉・七面鳥肉から分離された細菌の各種抗菌剤耐性(AMR)に関する試験結果を報告したものである。

 英国食品基準庁(UK FSA)は、戦略的優先課題として抗菌剤耐性に取り組むための国の施策において、市販の子羊肉・七面鳥肉から検出される大腸菌およびカンピロバクターの抗菌剤耐性について実施した全国調査の結果を発表した。

 食肉から検出される抗菌剤耐性菌に関するこれまでの調査は、英国の市販牛肉・豚肉・鶏肉を中心に実施されていたため、子羊肉および七面鳥肉については比較可能なデータが不足している。

 食肉での抗菌剤耐性に関する現行のサーベイランスにおいて不足しているエビデンスを補うため、今回、特に大腸菌およびカンピロバクターにおける抗菌剤耐性に焦点を当てた調査の実施が求められた。

 本調査では、市販の子羊肉製品および七面鳥肉製品それぞれについて210検体ずつが検査され、主な結果は以下の通りであった。

  • AmpC型βラクタマーゼ(AmpC)/基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生性大腸菌が子羊肉2検体(1%)および七面鳥肉24検体(11%)から検出されたが、カルバペネム耐性は検出されなかった。

  • 伝達性のコリスチン耐性遺伝子を保有する大腸菌が七面鳥肉3検体(1%)から検出された。英国の市販七面鳥肉からこの耐性型が検出されたのは今回が初めてであったが、FSAによるリスク評価の結果、リスクは非常に低いと判断された。

  • 七面鳥肉検体のカンピロバクター汚染率は11%であった。カンピロバクターでは、シプロフロキサシン、テトラサイクリンおよびナリジクス酸への耐性が特に高頻度に確認された。
 本調査の報告書全文(PDF)は以下のWebページ内のリンクから入手可能である。
https://www.food.gov.uk/research/antimicrobial-resistance/survey-of-antimicrobial-resistance-amr-bacteria-in-lamb-and-turkey-meat-on-retail-sale-in-the-uk

 抗菌剤耐性への取り組みは英国政府による国の戦略的優先課題の1つであり、これを受けて「抗菌剤耐性の低減に向けた20年構想(20-year Vision for AMR)」および2024年まで推進される「5カ年行動計画(5-year National Action Plan(NAP))」が策定されている(以下の各Webページ参照)。
https://www.gov.uk/government/publications/uk-20-year-vision-for-antimicrobial-resistance(20-year Vision for AMR)
https://www.gov.uk/government/publications/uk-5-year-action-plan-for-antimicrobial-resistance-2019-to-2024(National Action Plan(NAP))

 「5カ年行動計画」には、食品の汚染および抗菌剤耐性の拡散を抑えるための食品安全向上の重要性について具体的に記載されたセクションが含まれており、フードチェーン全体にわたる研究・サーベイランス・適正規範の推進による抗菌剤耐性と食品安全のためのエビデンスの強化が強調されている。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部