オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)からのカンピロバクター関連情報
https://www.rivm.nl


オランダでの感染症の発生状況(2018年)
State of Infectious Diseases in the Netherlands, 2018
02-07-2019
https://www.rivm.nl/bibliotheek/rapporten/2019-0069.pdf (報告書PDF)
https://www.rivm.nl/publicaties/staat-van-infectieziekten-in-nederland-2018#abstract_en

(食品安全情報2021年8号(2021/04/14)収載)


 近年、オランダではW群髄膜炎菌の感染患者数が増加している。この増加傾向は2018年も継続し、報告患者数は2017年の80人に対し2018年は103人であった。このため、2018年5月以降、14カ月齢の幼児を対象とする髄膜炎菌ワクチンにW群が追加された。2019年は、2001〜2005年生まれの10代の青少年もこのACWY群髄膜炎菌ワクチンの接種対象となる。2004年生まれの一部の青少年には、2018年に既にACWY群ワクチンが提供されている。

 2018〜2019年の季節性インフルエンザの患者数は40万人と推定され、より深刻な流行がみられた2017〜2018年の患者数90万人と比較すると大幅に減少した。2018年7〜8月にA群連鎖球菌による産褥熱の患者27人が報告され、患者数の多さが際立っていた。これと同時期に、多くの患者が膿痂疹を訴え医師の診察を受けた。オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)が実施した調査の結果、産褥熱を発症した女性患者は、A群連鎖球菌による猩紅熱、膿痂疹または咽頭炎に罹患した患者と接触する機会が比較的多かったとの結論が得られた。

 過去5年間(2014〜2018年)にオランダで発生した健康被害の最大の原因となった感染症は、インフルエンザ、肺炎球菌感染症、レジオネラ症、HIV感染症およびカンピロバクター症であった。

 以上の結果は、RIVMが発表した報告書「オランダでの感染症の発生状況」に記載されている。この年次報告書は、特にオランダ保健・福祉・スポーツ省(VWS)および各地方自治体の保健サービス当局の政策立案者に対し、オランダ国内および国外の感染症の最も重要な動向を概説している。

 この年次報告書は特集として毎年1つのテーマに焦点を当てており、今回の特集のテーマは「蚊および蚊媒介性疾患」である。メディアの報道では、蚊の種類、リスクおよび影響要因がしばしば混同して伝えられ、これが不必要な懸念を招いている可能性がある。したがって今回の特集では、どの種類の蚊がどのような環境下でどの疾患の病原体を媒介するかについて概説している。オランダにおける公衆衛生リスクの有無を特定可能にするため、この知見は重要である。気候変動(気温の上昇、降雨量の増加、継続的な干ばつ)が蚊媒介性疾患のリスクにどのような影響を及ぼしているかについてはまだ明らかになっていない。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部