Eurosurveillanceのカンピロバクター関連情報
https://www.eurosurveillance.org/


大規模な水由来カンピロバクター感染アウトブレイク:複数の調査手法を用いた飲料水供給システム汚染調査(ノルウェー、2019年6月)
Large waterborne Campylobacter outbreak: use of multiple approaches to investigate contamination of the drinking water supply system, Norway, June 2019
Eurosurveillance - Volume 25, Issue 35
03 September 2020
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7472686/pdf/eurosurv-25-35-3.pdf(論文PDF)
https://www.eurosurveillance.org/content/10.2807/1560-7917.ES.2020.25.35.2000011

(食品安全情報2021年11号(2021/05/26)収載)


 2019年6月6日、ノルウェー公衆衛生研究所(NIPH)は、Askøy地区で発生した50人以上の胃腸炎患者の報告を受けた。短期間での急な患者の発生および患者の地理的分布から、水供給システムの1つの貯水池が本アウトブレイクの感染源として疑われた。アウトブレイクの感染源、拡大範囲および対策の効果を確認するため、アウトブレイク調査が実施された。症例定義は、水供給システムA(WSS-A)の給水対象の家庭に居住し、2019年6月1〜19日の期間内に胃腸症状が24時間以上持続した者とされた。WSS-Aの給水対象の住民に対し、予備的聞き取り調査、電話調査およびショートメッセージサービス(SMS)を利用したコホート研究が実施された。WSS-Aのシステムに関する情報が収集された。患者および環境検体由来のカンピロバクター分離株について全ゲノムシークエンシング(WGS)解析が実施された。住民6,108人のうち1,573人が症例定義を満たした。感染源として疑われた貯水池の給水エリアの住民は、その他の貯水池の給水エリアの住民と比べて疾患リスクが4.6倍高かった。患者由来(n=24)および水由来(n=4)のCampylobacter jejuni分離株は、コアゲノム多座塩基配列タイピング(cgMLST)プロファイルが一致した。汚染は大雨の際に貯水池のひび割れを通して起きた可能性が高いと考えられた。水供給システムは汚染の影響を受けやすく、特定の気象条件下では特に汚染が起こりやすい。この調査の結果から、リスク低減のための給水システムの安全対策およびリスクベースのサーベイランスの重要性が強く示された。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部