ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)からのカンピロバクター関連情報
https://www.bfr.bund.de/


欧州域内でサルモネラ感染症が増加:衛生規範の遵守により家禽を安全に調理可能
More Salmonella infections in Europe: Hygiene rules help prepare poultry safely
28.04.2021
https://www.bfr.bund.de/en/press_information/2021/18/more_salmonella_infections_in_europe__hygiene_rules_help_prepare_poultry_safely-272267.html

(食品安全情報2021年13号(2021/06/23)収載)


 最近の数カ月間に、欧州諸国およびカナダにおいて、相互に関連するサルモネラ症患者が300人以上発生した。追跡調査により、英国の一部の患者でパン粉付き冷凍家禽肉製品との関連が特定された。当該製品は、胃腸炎の原因となるサルモネラ菌(Salmonella Enteritidis)に汚染されていた。サルモネラは凍結処理では死滅せず、0℃未満の温度下でも感染性を維持できる。ロベルト・コッホ研究所(RKI)およびドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、ドイツ連邦消費者保護・食品安全庁(BVL)と共に動向をモニターしている。ドイツでは現時点での報告患者数が6連邦州で計20人を上回っている。2020年はドイツ全体で約10,000人のサルモネラ症患者が報告され、これらのほとんどは汚染食品の喫食によるものであった。基本的には、生の家禽肉などを調理する際に衛生面に細心の注意を払うことで食品由来感染症は防ぐことができる。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの封じ込め策として、人々は以前より頻繁に自宅で料理を行うようになり、その過程において冷凍食品などの利便性の高い製品も高頻度に使用されるようになっている。これらの製品に使用されている食肉が加熱済みであるか生であるかは、外見だけでは明確には判断できない場合がある。特に生の家禽肉が原材料である製品については、調理の際に常に十分な加熱処理を確実に行うべきである。また生の食肉やパン粉を介した他の料理への細菌汚染も起こり得る。BfRのHensel所長は、特に小児および高齢者ではサルモネラ症の罹患リスクがより高くなると述べている。

 家禽肉製品に関する主なFAQが以下のWebページから入手可能である。
https://www.bfr.bund.de/en/selected_faqs_on_poultry_meat-54623.html

 食品に関する公的モニタリングの実施機関による調査から、生の家禽・家禽肉製品(冷凍製品も含む)が病原体に汚染されている可能性があることが示されている。2018年に検査された鶏肉検体では、5.6%からサルモネラが検出され、半数からカンピロバクターが検出された。このためBfRは、家禽・家禽肉製品の取扱いおよび調理に関する提言を遵守するよう勧告している。

 家禽肉の調理の際に十分な高温で加熱処理を施すことにより、サルモネラやカンピロバクターなどの細菌が死滅することは事実である。しかし、手、調理器具および調理設備の表面が汚染されることで、他の食品もこれらの病原菌に汚染される可能性がある。この汚染された食品は、喫食前に再加熱されなければ疾患の原因となり得る。食品中のサルモネラは7℃以上で増殖可能であるため、非冷蔵の環境下に長時間置かれたサラダやデザートなどの食品の喫食は特にリスクが高い。

 したがって、生の家禽肉を調理する際は、以下の一般的な衛生規範を厳密に遵守すべきである。

  • 生の家禽肉製品はその他の食品とは別に保存および調理し、その他の食品を再加熱しない場合は特に注意する。
  • 生鮮家禽肉は4℃以下で保存し、消費期限までに調理および喫食する。
  • 冷凍家禽肉は包装を取り外して冷蔵庫内で解凍する(ボウルに入れカバーを掛けて解凍時のドリップが漏れないようにする)。
  • 包装材は注意深く廃棄し、解凍時のドリップは速やかに処分する。
  • 水滴と共に細菌が飛散する可能性があるため、家禽肉は洗浄せずにそのまま調理するか使い捨てのペーパータオルで軽く拭く。
  • 生の家禽肉製品や解凍時のドリップに接触した調理器具および調理設備表面は、次の段階で使用する前に温水と洗剤で十分に洗浄する。
  • 調理中は各段階の間に毎回温水と石鹸で十分に手を洗う。
  • 家禽肉の加熱は、製品の中心温度が70℃以上に達して2分間、および全体が均一に白色になるまで十分に行い、グリルの場合もこれに準ずる。


国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部