(食品安全情報2012年8号(2012/04/18)収載)
性差は、感染性疾患の疫学調査においてしばしば見過ごされるパラメーターである。そこで、届出義務のあるいくつかの感染性疾患を感染経路別に分類し、発生率の性差を分析した。
表は、2001〜2011年に届出された水および食品由来疾患の人口10万人当りの累積新規患者数の男女比を全年齢および各年齢グループについて示したものである。
表:水および食品由来疾患の人口10万人当りの累積新規患者数の男女比(デンマーク、2001〜2011年)
水および食品由来疾患
○病原性腸内細菌
カンピロバクターおよびサルモネラ感染症は高頻度で発生し、主な感染経路は汚染食品の摂取である。この2つの感染症の発生率は、全体としてはいずれも男性の方がわずかに高かった。
ベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)感染は、25〜64歳グループの女性で同年齢グループの男性より発生率が高かった。
赤痢は、主に国外への渡航および輸入食品の喫食を介して感染する。5〜64歳グループの女性で発生率が高かったが、これはベビーコーンによる大規模アウトブレイクが主な原因である。
○急性A型肝炎
急性A型肝炎は流行地域への渡航時および国内でのアウトブレイクの際に主に感染する。25〜64歳グループの男性で見られた高い発生率は、同性との性的接触がある男性に発生した国内のアウトブレイクが主な原因である。