オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)からのカンピロバクター関連情報
https://www.rivm.nl


Meuse川、ライン川、New Meuse川で採取された細菌の抗生物質耐性率
Prevalence of antibiotic resistant bacteria in the rivers Meuse, Rhine and New Meuse
2012-03-08
https://www.rivm.nl/bibliotheek/rapporten/703719071.html

(食品安全情報2012年7号(2012/04/04)収載)


 オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)が行った探索研究により、オランダの大きな河川に生息する細菌の多くは1種類以上の抗生物質に対して耐性であることが示された。たとえばレクリエーションや農作物の灌漑用水としての使用の際に汚染された表層水に接触すると、このような耐性菌に暴露するリスクがある。抗生物質は感染症治療に必須であるため、汚染表層水との接触は公衆衛生リスクをもたらす可能性がある。耐性菌は、抗生物質を投与された動物に由来する糞尿肥料の流出など様々な経路で表層水に侵入する。その他、たとえば抗生物質治療を行う病院から排出された未処理排水または不完全処理排水による汚染もある。全体では大腸菌および腸球菌の1/3〜1/2が1種類以上の抗生物質に耐性であった。一部の検体からは黄色ブドウ球菌、カンピロバクターおよびサルモネラの抗生物質耐性株が検出された。このような耐性菌の大部分は腸内細菌であるが、黄色ブドウ球菌は主にヒトの皮膚、鼻腔内および咽喉内に存在する。

 耐性菌には様々なリスクがある。まず、耐性菌に暴露したヒトは種々の細菌感染症を発症する可能性があり、抗生物質耐性であるためにその治療が困難なことがある。次に、感染者自身が発症しない場合でも、入院患者や高齢者などのリスクのより高い人に耐性菌を移し、発症させる可能性がある。また、耐性菌が消化管内に定着し、そのあとで腸内に摂取された他の病原菌に耐性遺伝子を伝達するリスクがある。

 ヒトの抗生物質耐性菌への暴露に環境がどの程度関与しているかを推定するには、表層水中の細菌の耐性率に関するデータが必要である。RIVMは今後、このような暴露およびこれに関連する公衆衛生リスクに重点を置いて研究を進める。



国立医薬品食品衛生研究所安全情報部