アイルランド保健サーベイランスセンター(HPSC Ireland)からのカンピロバクター関連情報
https://www.hpsc.ie


感染性胃腸疾患への対応に関するガイダンスの発行
Guidance on management of infectious intestinal disease published
Epi-Insight, volume 13 issue 11, November 2012
https://ndsc.newsweaver.ie/epiinsight/19fa6dtj5xk

(食品安全情報2012年24号(2012/11/28)収載)


 アイルランド保健サーベイランスセンター(HPSC Ireland)は、公衆衛生と一般診療における感染性胃腸疾患(IID)への対応に関して詳細なガイダンスを発行した。この「感染性胃腸疾患:公衆衛生および診療のためのガイダンス(Infectious Intestinal Disease: Public Health & Clinical Guidance)」の対象は主に公衆衛生医学コンサルタント(CPHM)および一般臨床医であるが、この他にも臨床微生物、感染症、救急医療、小児医療、総合内科および職業病医学などの分野のコンサルタントにも役立つものとなっている。また、環境衛生監視員(EHO)、感染症対策看護師(Infection Control Nurses)、コンサルタント以外の病院医師、そして通常は感染性胃腸疾患への対応を担当していないその他の医療専門家および看護スタッフにも便利で有益な資料となるとしている。

 IID(または胃腸炎)は、患者が一般診療を受診する最も多い理由の1つであり、IIDの病原体はアイルランドにおける感染性疾患アウトブレイクの最大の原因である。救急および滞在型の医療施設におけるこれらの病原体への対応は、金銭的・人的資源を消耗させ、患者(ひいては看護者)の苦痛および職員や経営者の不満のもととなる。商業施設(ホテル、食品提供・製造施設、レストランなど)で発生した食品由来IIDアウトブレイクは、消費者に脅威をもたらし、これらの業界の経済的な成長を損ねることにつながる。

 IIDの原因病原体の種類は常に増加し続けている。人は以前より広い範囲に旅行するようになり、胃腸感染症への暴露リスクは増加している。また、特にベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)などの病原体で病原性が強く、治療が困難な変異株が出現している。これらの病原体への対応と調査は医療制度やさらに広範な社会分野に多大な負担を課すことにつながるため、それらの感染によって発生する損失を、利用可能な診断法、治療法、および予防対策を選択的に適用することで効果的に抑制する必要がある。近年、IID患者の隔離および治療の選択肢が著しく変化してきているが、本ガイダンスは、この分野の現行のガイダンスに代わるもので、IIDに対応する最新の資料を提供している。

 本ガイダンスは以下の18疾患を対象としている。

・セレウス菌食中毒
・ボツリヌス中毒
・カンピロバクター症
・コレラ感染症
Clostridium difficile腸炎
・ウェルシュ菌食中毒
・クリプトスポリジウム症
・ジアルジア症
・A型肝炎
・リステリア症
・ノロウイルス感染症
・ロタウイルス感染症
・黄色ブドウ球菌食中毒
・サルモネラ症
・赤痢
・腸チフス/パラチフス
・ベロ毒素産生性大腸菌腸炎
・エルシニア症


(関連記事)
http://www.hpsc.ie/hpsc/A-Z/Gastroenteric/GastroenteritisorIID/Guidance/(ガイダンス紹介)
http://www.hpsc.ie/hpsc/A-Z/Gastroenteric/GastroenteritisorIID/Guidance/File,13492,en.pdf(ガイダンス全文)
http://www.hpsc.ie/hpsc/A-Z/Gastroenteric/GastroenteritisorIID/Guidance/File,13493,en.pdf(ガイダンス要旨)



国立医薬品食品衛生研究所安全情報部