米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)からのカンピロバクター関連情報
https://www.fsis.usda.gov


米国農務省(USDA)が家禽製品の安全性向上と消費者保護のため予防を中心とする新しい取組みを発表
USDA Announces New Prevention-based Efforts to Improve Safety of Poultry Products and Protect Consumers
December 5, 2012
http://www.fsis.usda.gov/News_&_Events/NR_120512_01/index.asp

(食品安全情報2012年25号(2012/12/12)収載)


 米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)は、家禽製品の製造業者に必須な食品安全計画の改善により消費者を保護する新しい施策を発表した。

 鶏・七面鳥の生のひき肉および同様の製品の製造業者は、それぞれのHACCP計画の見直しが求められる。各業者は家禽製品に関連して発生した数件のサルモネラアウトブレイクの情報を考慮に入れたうえで、今後90日以内にHACCP計画の見直しを実施しなければならない。

 今回の通知で、FSISは以下の内容も発表した。

  • サルモネラの検証のためのサンプリングプログラムを拡大し、ひき肉以外に生の家禽粉砕肉製品も対象に加える。
  • FSISがサルモネラに加えカンピロバクターも検査対象とすることと整合性をとるため、検査用のサンプルのサイズを25 gから325 gへと増量する。
  • そのまま喫食可能ではない(not-ready-to-eat)家禽粉砕肉製品のサルモネラ汚染率を調べるためにサンプリングを実施し、そのデータを用いてこれらの製品に対し新しい達成基準(performance standards)を作成する。
 今回の発表は、食品供給の安全確保、食品由来疾患の予防および消費者の食品知識の向上のために、オバマ政権下でFSISが実行してきた主要な公衆衛生対策のうちの最新の例である。これらのFSISの対策は、大統領の食品安全作業部会が策定した3つの基本原則である「予防の優先」、「サーベイランスと強制措置の強化」および「問題発生時の対応と回復の能力の強化」を支えている。USDAが実施してきたその他の対策には、以下のものが含まれる。

  • O157:H7以外の血清型の志賀毒素産生性大腸菌(non-O157:H7 STEC)のゼロトレランス(zero tolerance:検出を一切認めない)策。2012年6月4日、FSISは生の牛切り落とし肉でnon-O157:H7 STECの6種類の血清群について日常検査を開始した。死亡を含む重篤な症状を引き起こすこれらの病原性大腸菌の汚染が検出された切り落とし肉は、市場への流通が認められず回収の対象となる。
  • 単一原材料の生の食肉・家禽肉製品およびひき肉・みじん切り肉製品について栄養成分表示を義務付けることにより、食品に関するより適切な情報を消費者に提供することを目的とした対策を実行。
  • 公衆衛生の動向およびFSISが規制する約6,100カ所の施設での食品安全違反の情報が登録された近代的かつ総合的なデータベースである公衆衛生情報システム(Public Health Information System)を導入。
  • 家禽関連施設における病原体汚染の持続的な低減のための達成基準を作成。 FSISは、カンピロバクターについての新基準とサルモネラについての改定基準の導入の2年後には、年間約5,000人のカンピロバクター患者と約20,000人のサルモネラ患者の発生を予防できると推定している。


国立医薬品食品衛生研究所安全情報部