欧州食品安全機関(EFSA)からのカンピロバクター関連情報
https://www.efsa.europa.eu/en


食肉(家禽肉)の検査で対象となる公衆衛生ハザードについての科学的意見
Scientific Opinion on the public health hazards to be covered by inspection of meat (poultry)
EFSA Journal 2012;10(6):2741
Published: 29 June 2012, Adopted: 23 May 2012
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/2741

(食品安全情報2012年14号(2012/07/11)収載)


 定性的リスク評価により、家禽肉検査に関連した最も重要な生物学的ハザードとして、カンピロバクター属菌、サルモネラ属菌、基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)/AmpC型βラクタマーゼ遺伝子保有細菌が特定された。従来の目視による食肉検査ではこれらのいずれもが検出不能であることから、フードチェーン情報(FCI)の利用拡大およびリスクベースの対策により実現可能となる包括的な食品安全保証システムの樹立が提案された。このシステムには、とたいの段階、場合によっては家禽群の段階で個々のハザードに対して達成すべき目標を設定することが含まれている。このシステムは、FCIにもとづく家禽群のリスク分類と、とたいの糞便汚染の低減能力による食鳥処理場のクラス分けを基礎としている。死後の目視検査を廃止し、とたいの主要なハザードについての目標値の設定と、食品業経営者の衛生管理状況の工程衛生基準(Process Hygiene Criteria)による検証で代替することが提案されている。家禽を汚染している可能性がある化学物質は、事前に定義した基準に従い、懸念の可能性の高さにより4つのカテゴリーに分類された。ダイオキシン、ダイオキシン様ポリ塩化ビフェニル、クロラムフェニコール、ニトロフランおよびニトロイミダゾールが懸念の可能性の高い物質に分類された。しかし、家禽の化学物質汚染が消費者にとって緊急性の高い直接の健康リスクとなる可能性は低い。残留化学物質および汚染化学物質検出のためのサンプリングはFCIにもとづいて行うべきである。また、管理プログラムは飼料規制との更なる統合を進め、新規および新興の化学物質を対象に加えるため定期的な見直しを行うべきである。食肉検査は、個々の動物の衛生と福祉の状況のサーベイランスおよびモニタリングに有用なツールと考えられる。死後の目視検査が廃止された場合、動物の疾患発生および福祉の状況に関する情報不足を補うために他の方法を適用する必要がある。FCIの利用拡大によって情報不足の一部は補える可能性があるが、すべてを補えるわけではない。



国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部