(食品安全情報2012年13号(2012/06/27)収載)
食料生産動物およびその食肉由来のサルモネラ、カンピロバクター(Campylobacter coli、C. jejuni)、指標大腸菌(indicator Escherichia coli)および指標腸球菌の抗菌剤耐性のモニタリングおよび報告の方法に関して、欧州連合(EU)加盟国の間での統一を促進する提案がなされている。モニタリングの対象とすべき菌種、食料生産動物種および食品の組合せのリストの作成や公衆衛生の観点からのモニタリングの優先順位の決定において、消費者の暴露可能性が考慮すべき最重要項目であると考えられた。サルモネラは汚染率が低下しつつあるので、指標細菌の抗菌剤耐性のモニタリングを義務化すべきであると結論された。抗菌剤耐性のモニタリングを義務的に行うべきかを判断するために、一部の動物種およびその食肉(消費が一部の加盟国に限られている)について閾値の概念が導入された。分離株の抗菌剤耐性についての現行の表現型モニタリングは維持すべきであるが、サルモネラ、大腸菌および腸球菌の検査に使用する抗菌剤パネルを拡大し、ヒトの健康に重要な抗菌剤または耐性メカニズムの解明に役立つ抗菌剤を含めることが推奨される。検査法としては微量希釈法が第一選択肢であることが確認されたが、これと同時に、耐性の判定は疫学的カットオフ値の適用によるべきである。広域スペクトルセファロスポリンおよびカルバペネムに耐性の大腸菌およびサルモネラ属菌分離株について、その詳細な性状を明らかにするため、2段階からなる検査法が提案された。基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)やAmpC型βラクタマーゼを産生する大腸菌のモニタリングに、複数の方法が提案された。最後に、特に多剤耐性の出現に関するより詳細な解析を可能にするため、個々の分離株レベルでのデータの収集および報告が全面的に推奨された。