平成9年10月28日
各都道府県衛生主管部(局)長 殿
厚生省医薬安全局審査管理課長
分析法バリデーションに関するテキスト(実施方法)について
医薬品の製造(輸入)承認申請に際して添付すべき分析法バリデーションに関する資料のうち実施項目に関する件については、平成7年7月20日薬審第755号審査課長通知(以下「実施項目通知」という。)により通知されているところであるが、分析法バリデーションに関する資料のうち実施方法に関する件については、下記により取り扱うこととしたので、御了知の上、貴管下関係業者に対し周知徹底方御配慮願いたい。
記
1 別紙の「分析法バリデーションに関するテキスト(実施方法)」は、日米EU三極医薬品承認審査ハーモナイゼーション国際会議(ICH)の課題の1つとして検討されたものであること。
2 平成10年4月1日以降に承認申請される新医薬品については、本テキスト を参考にした分析法バリデーションに関する資料を実施項目通知の記の1の資料と合わせて当該承認申請書に添付すること。
3 通知の改正
実施項目通知の通知名を「分析法バリデーションに関するテキスト(実施項 目)について」に改め、記の3を削り、別添の標題「分析法バリデーションに関するテキスト」を「分析法バリデーションに関するテキスト(実施項目)」に改め、記の1を次のように改める。
1 平成10年4月1日以降に承認申請される新医薬品については、別添分析法バリデーションに関するテキスト(実施項目)を参考にした分析法バリデーションに関する資料を当該承認申請書に添付すること。
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分析法バリデーションに関するテキスト(実施方法)
1 はじめに
本テキストは、分析法のバリデーションを行うときに検討が必要となる分析法の諸特性について記載した「分析法バリデーションに関するテキスト(実施項目)(以下「実施項目テキスト」という。)」を補完するものである。このテキストの目的は、個々の分析法に関連する様々な分析能パラメータを検討する方法について、その指針を示すことにある。場合によっては、例えば、特異性を立証するときなどのように、原薬又は製剤の品質を保証するために組み合わせたいくつかの分析法について、その総合的な能力を検討することもある。また、このテキストでは、新医薬品の承認申請書の添付資料(以下「添付資料」という。)に記載が必要なデータについても示すこととする。
バリデーションの過程で得られたすべての関連データ及び分析能パラメータを算出するために用いた計算式を添付資料に記載し、適当な考察を加えることが求められる。
このテキストに示すバリデーションの手法とは異なる方法を用いてもよい。対象となる医薬品に最も適したバリデーションの方法とプロトコールを選択することは、承認申請者の責任である。しかしながら、このとき、医薬品の試験に用いる分析法が意図した目的に適う方法であることを立証するという分析法バリデーションの目的を念頭に置いておくことが重要である。生物学的製剤及びバイオテクノロジー応用医薬品に用いられる分析法に対しては、医薬品の性質が複雑であるために、このテキストに示す手法とは異なる手法が適用されることもある。
バリデーションにおいては、添付の書類に純度が明記されており、十分に特性が明らかな標準物質を用いる必要がある。どの程度の純度の標準物質が必要であるかは、分析法の使用目的による。
このテキストでは、理解しやすいように、実施項目テキストに合わせて分析能パラメータごとに項目を分けて論じることにする。各項目は、分析法が開発され、評価される過程を考慮して配列されている。
通常、例えば、特異性、直線性、範囲、真度及び精度のような、いくつかの適当な分析能パラメータを同時に検討し、分析法の能力に関する総合的で信頼性の高い情報が得られるような実験計画を組むことができる。
2 特異性(Specificity)
確認試験、不純物の定量試験及び有効成分の定量法に用いる分析法のバリデーションでは、特異性の検討を行う。特異性を立証するための手法は、分析法が適用される目的に依存するであろう。
ある分析法が特定の分析対象物に対して特異的であり、完璧な識別性を有することを立証することは、必ずしも可能とは限らない。このような場合には、2つ以上の分析法を組み合わせることによって、医薬品の試験に必要な識別能力の水準を達成することが推奨される。
(1) 確認試験(Identification)
確認試験としては、共存する可能性のある構造的に類似した化合物どうしを識別できる方法が適している。分析法の識別能力は、分析対象物を含む試料を用いて(多くの場合には、既知の標準物質についての結果と比較することにより)求めた陽性の結果と分析対象物を含まない試料を用いて求めた陰性の結果とを得、比較することによって確認できる。分析対象物と構造的に類似する物質又は分析対象物に密接に関連する物質に確認試験を適用して、陽性の反応が得られないことを確認してもよい。特異性を検討するときには、分析法を実施する上で起こり得る妨害について考察し、適切な科学的判断に基づいて、上記のような妨害を引き起こす可能性のある物質を選択する必要がある。
(2) 定量法と純度試験
クロマトグラフ法では、代表的なクロマトグラムを示すことによって、特異性を立証する。クロマトグラムの個々のピークには、識別しやすいように適切な表示を施しておく。他の分離分析法についても、同様の配慮が必要である。
クロマトグラフ法では、成分が互いに分離されていることを示す分離限界(Critical Separation)について、適当な濃度の試料を用いて検討する。特異性を示すために、互いに最も近接して溶離する2つの成分の分離度を用いて分離限界を表してもよい。
非特異的な定量法が分析対象物のみを定量していることを支持するような他の分析法のデータを添えて、総合的に特異性を立証する。例えば、原薬の出荷試験で行う定量法に滴定法を採用する場合には、その定量法に適当な純度試験を組み合わせることによって、特異性が証明できよう。
特異性を立証するための手法は、定量法と純度試験とで同じである。
ア 不純物を入手できるとき
定量法では、不純物又は医薬品添加物が存在する下で、分析対象物を識別できることを立証する。実際には、原薬又は製剤に適当な濃度の不純物や医薬品添加物を添加したときの定量結果をこれらの物質が添加されていないときに得られる定量結果と比較し、これらの物質が共存していても定量結果が影響されないことを示すことによって特異性を立証できる。
純度試験では、原薬又は製剤に適当な濃度の不純物を添加し、これらの不純物が互いに分離していること、又はこれらの不純物が試料中に存在する他の成分から分離していることを示すことによって識別能力を立証できる。
イ 不純物が入手できないとき
不純物又は分解生成物の標準品が入手できない場合には、不純物又は分解生成物を含む試料をバリデートしようとする分析法で測定した結果と別の分析能パラメータ既知の分析法で測定した結果とを比較することによって、特異性が立証できることもある。分析能パラメータ既知の分析法とは、例えば、薬局方に記載された方法又はそれ以外の既にバリデートされている分析法のことをいい、バリデートしようとする分析法とは全く別の分析法のことである。必要に応じて、不純物を含む試料として、起こり得る苛酷条件(光、熱、湿度、酸又は塩基加水分解及び酸化)の下で曝露した試料を検討に用いる。
・定量法では、2つの定量結果を比較する。
・純度試験では、不純物プロファイルを比較する。
クロマトグラム上の分析対象物のピークが複数の成分に由来していないことを示すためには、ダイオードアレイや質量分析計などを検出器として用いるクロマトグラフ法のピーク純度試験(ピーク単一性試験)が有用である。
3 直線性(Linearity)
「4 範囲」に示す分析法の範囲の全域にわたって、直線性を確認する必要 がある。希釈した標準液の系列を用いて原薬の濃度に対して直接的に直線性を 証明してもよいし、また、製剤成分の混合物の重量に対して直接的に直線性を 証明してもよい。後者は、範囲を検討する際に検討することができる。
シグナルを分析対象物の濃度又は含量の関数としてプロットした図を用いて視覚的に直線性を評価する。直線関係が認められる場合には、最小二乗法による回帰直線の計算などの統計学的手法を用いて測定結果を評価する。分析値と試料濃度との間の直線関係を得るために、回帰分析を行う前に、測定データを 数学的に変換する必要があることもある。回帰直線から得られる情報は、直線性の程度を数学的に評価するときに役立つ。
相関係数、y−切片、回帰直線の傾き及び残差平方和を添付資料に記載する。データをプロットした図も添付資料に含める。実測値と回帰直線上の予測値との差を濃度に対してプロットした図を解析することも直線性を評価する上で有用である。
イムノアッセイのような分析法は、いかなる変換を行っても直線性を示さない。このような場合にも、可能な限り、レスポンスを試料中の分析対象物の濃度(量)の適当な関数(理論式又は近似式)で表す。
直線性を立証するときには、少なくとも5水準の濃度を用いる。別の手法を用いるときには、その手法の妥当性の根拠を示す。
4 範囲(Range)
規定すべき範囲は、通常、直線性を検討することによって導かれ、分析法が適用される目的に依存する。規定する範囲内又は範囲の両端の量の分析対象物を含む試料を用いて分析を行い、分析法の直線性、真度及び精度が容認できる程度であることを確認することによって、範囲を立証する。
規定すべき範囲として、少なくとも次に示す範囲を検討する。
(1) 原薬又は製剤の定量法
通常、試験濃度の80〜120%。
(2) 含量均一性試験
服用計量吸入剤などのように剤型の特性に基づいてもっと広い範囲を規定するのが適当である場合を除いて、試験濃度の少なくとも70〜130%。
(3) 溶出試験
規格の全範囲の±20%。
例えば、もし、放出制御製剤の規格の限度値が1時間後に20%、24時間後に90%と規定されているならば、バリデートすべき範囲は表示量の0〜110%となるであろう。
(4) 不純物の定量試験
不純物の報告の閾値〜規格の限度値の120%(不純物の報告の閾値については、「新有効成分含有医薬品のうち原薬の不純物に関するガイドライン(平成7年9月25日薬審第877号審査課長通知)」及び「新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドライン(平成9年6月23日薬審第539号審査課長通知)」を参照)。
作用が異常に強いことが知られている不純物又は毒性や予期せぬ薬理作用を示した不純物については、検出/定量限界は、その不純物が制御されるべき限度に見合っている必要がある。(医薬品の開発段階で行われる純度試験において用いられる分析法をバリデートする場合には、予測される限度値の周辺を範囲として検討しておく必要があろう。)
(5) 有効成分の定量法と純度試験が1つの試験で同時に行われ、有効成分の表示量の100%を含む
試料のみが標準として用いられる場合
不純物の報告の閾値〜表示量の120%。
5 真度(Accuracy)
真度は、分析法の規定する範囲全域にわたって、立証される必要がある。
(1) 定量法
ア 原薬
真度を決定するために、いくつかの方法が利用できる。
(i) 真の値が既知の場合
純度既知の分析対象物(例えば、標準物質)に対してバリデートしようとする分析法を適用する。
(ii) 真度既知の分析法が存在する場合
バリデートしようとする分析法による結果と真度既知の分析法(2 (2) 参照)による結果とを比較する。
(iii) 真度は、精度、直線性及び特異性を立証することによって、推論できることがある。
イ 製剤
真度を決定するために、いくつかの方法が利用できる。
(i) 製剤成分の混合物に分析しようとする原薬の既知量を添加し、これにバリデートしよう
とする分析法を適用する。
(ii) 入手するのが不可能な製剤成分がある場合には、次のいずれの方法を用いても差し支え
ない。
a)製剤に既知量の分析対象物を添加する方法
b)製剤をバリデートしようとする分析法で測定した結果と真度既知の分析法(2(2) 参
照)で測定した結果とを比較する方法
(iii) 真度は、精度、直線性及び特異性を立証することによって、推論できることがある。
(2) 不純物(定量試験)
真度は、既知量の不純物を添加した原薬又は製剤などの試料を定量することにより評価される。
特定の不純物又は分解生成物を得るのが不可能な場合には、バリデートしようとする分析法による結果を真度既知の分析法(2(2) 参照)による結果と比較してもよい。原薬の感度係数(response factor)を用いてもよい。
主要な分析対象物の全てにおいて、例えば、重量百分率による、あるいは面積百分率によるなど、個々の不純物の量又は不純物の総量の決め方を明記しておく必要がある。
(3) 必要とされるデータ
真度は、規定する範囲を含む最低3濃度について、分析法の全操作を少なくとも9回繰り返して測定(例えば、3濃度について分析法の全操作を各濃度3回ずつ繰り返して測定)した結果から評価される。
真度は、既知量の分析対象物を添加した試料を定量する場合には回収率として表され、一方、真の値又は真の値として認証又は合意された値と比較する場合にはこれらの値と平均値との差として表される。いずれかの形で表した真度及び真度の信頼区間を添付資料に記載する。
6 精度(Precision)
定量法及び不純物の定量試験のバリデーションを行うときは、精度の検討を行う。
(1) 併行精度(Repeatability)
併行精度は、次のいずれかの方法で評価する。
ア 規定する範囲を含む濃度について、分析法の全操作を少なくとも9回繰り返して測定する
(例えば、3濃度について分析法の全操作を各濃度3回ずつ繰り返して測定する。)。
イ 試験濃度の100%に相当する濃度で、分析法の全操作を少なくとも6回繰り返して測定する。
(2) 室内再現精度(Intermediate precision)
室内再現精度の検討範囲は、分析法が使用される状況に応じて定まる。承認申請者は、分析法の精度に及ぼすランダムな事象の影響を確認する必要がある。検討が必要な代表的な変動要因は、試験日、試験者、装置などである。これらの影響を別々に検討する必要はなく、実験計画法を利用することを奨励する。
(3) 室間再現精度(Reproducibility)
室間再現精度は、試験室間の共同実験によって評価される。例えば、薬局方に分析法を収載するなど、分析法を標準化する必要が生じた際に室間再現精度の検討が必要となる。室間再現精度に関するデータを添付資料に記載する必要はない。
(4) 必要とされるデータ
添付資料に、各タイプの精度ごとに、標準偏差、相対標準偏差(変動係数)及び標準偏差の信頼区間を記載する。
7 検出限界(Detection limit)
検出限界を求めるためにはいくつかの手法を利用でき、分析法が機器分析であるか否かによって異なる。ここに示す手法とは異なる手法を用いても差し支 えない。
(1) 視覚的評価に基づく方法
機器を使わない分析法では、視覚的に評価を行うが、機器分析法についても視覚的に評価を行ってもよい。
検出限界は、既知濃度の分析対象物を含有する試料を分析し、分析対象物が確実に検出できる最低の濃度を確認することによって決められる。
(2) シグナル対ノイズに基づく方法
この手法は、ベースラインノイズを伴う分析法にのみ適用できる。シグナル対ノイズ比は、分析対象物を既知の低濃度で含有する試料のシグナルをブランク試料のシグナルと比較することによって求めることができる。これを用いて分析対象物が確実に検出できる最低の濃度を求める。検出限界設定には、3〜2:1のシグナル対ノイズ比が一般的に許容されている。
(3) レスポンスの標準偏差と検量線の傾きに基づく方法
検出限界(DL)を次式により決定することもできる。
DL=3.3σ/S
ここで、σはレスポンスの標準偏差を、Sは検量線の傾きを表す。
傾きSは、分析対象物(不純物)の検量線から推定できる。標準偏差σについては、種々の推定方法があるが、以下はその例である。
ア ブランクの標準偏差に基づく方法
適当な数のブランク試料を分析し、そのレスポンスの標準偏差を計算することによって、分析法のバックグラウンドの標準偏差の大きさを見積もる。
イ 検量線に基づく方法
検出限界付近の濃度の分析対象物を含む試料を用いて、検量線を作成する。回帰直線の残差の標準偏差又は回帰直線から推定した濃度ゼロにおけるシグナルの標準偏差を標準偏差σとして利用できる。
(4) 必要とされるデータ
検出限界及びそれを求めるときに用いた方法を添付資料に記載する。視覚的評価又はシグナル対ノイズ比によって検出限界を決定した場合には、その妥当性を示すために、関連するクロマトグラムを提示する。
計算又は外挿によって検出限界の推定値を得た場合には、更に、検出限界の濃度となるように調製した適当な数の試料又は濃度が検出限界付近であることが知られている適当な数の試料について、別途分析を行い、この推定値が妥当であることを示す。
8 定量限界(Quantitation limit)
定量限界を求めるにはいくつかの手法があり、分析法が機器分析であるか否かによって手法が異なる。ここに示す手法とは異なる手法を用いても差し支えない。
(1) 視覚的評価に基づく方法
機器を使わない分析法では、視覚的に評価を行うが、機器分析法についても視覚的に評価を行ってもよい。
定量限界は、既知濃度の分析対象物を含有する試料を分析し、分析対象物が許容できる真度と精度で定量できる最低の濃度を確認することによって決められる。
(2) シグナル対ノイズに基づく方法
この手法は、ベースラインノイズを伴う分析法にのみ適用できる。シグナル対ノイズ比は、分析対象物を既知の低濃度で含有する試料のシグナルをブランク試料のシグナルと比較することによって求めることができる。これを用いて分析対象物が確実に定量できる最低の濃度を求める。定量限界設定のための標準的なシグナル対ノイズ比は、10:1である。
(3) レスポンスの標準偏差と検量線の傾きに基づく方法
定量限界(QL)を次式によって決定することもできる。
QL=10σ/S
ここで、σはレスポンスの標準偏差を、Sは検量線の傾きを表す。
傾きSは、分析対象物の検量線から推定できる。標準偏差σについては、種々の推定方法があるが、以下はその例である。
ア ブランクの標準偏差に基づく方法
適当な数のブランク試料を分析し、そのレスポンスの標準偏差を計算することによって、分析法のバックグラウンドの標準偏差の大きさを見積もる。
イ 検量線に基づく方法
定量限界付近の濃度の分析対象物を含む試料を用いて、検量線を検討する。回帰直線の残差の標準偏差又は回帰直線から推定した濃度ゼロにおけるシグナルの標準偏差を標準偏差σとして利用できる。
(4) 必要とされるデータ
定量限界及びそれを求めるときに用いた方法を添付資料に記載する。
更に、定量限界の濃度となるように調製した適当な数の試料又は濃度が定量限界付近であることが知られている適当な数の試料について、別途分析することによって定量限界が妥当であることを示す。
9 頑健性(Robustness)
頑健性は、分析法を開発する段階において検討しておくべきであり、その評価方法は開発しようとする分析法のタイプに依存する。頑健性は、分析条件を故意に変動させたときの分析法の信頼性を表す。
もし、測定値が分析条件の変動の影響を受け易いようであれば、分析条件を適切に制御する方法を考慮するか、あるいは、そのことを分析法の中に注意事項として盛り込む必要がある。頑健性を評価することによってシステム適合性に関する一連のパラメータ(例えば、分離度)を確立することができよう。これらのパラメータを確認することによって、日常の分析において分析法の妥当性が維持されていることを保証できる。
代表的な変動因子は、次のとおりである。
(1) 種々の分析法に共通する変動因子
・試験溶液の安定性
・抽出時間
(2) 液体クロマトグラフ法の代表的な変動因子
・移動相のpHの変動の影響
・移動相の組成の変動の影響
・カラムの変更(異なるロット又は異なる銘柄)
・温度
・流速
(3) ガスクロマトグラフ法の代表的な変動因子
・カラムの変更(異なるロット又は異なる銘柄)
・温度
・流速
10 システム適合性試験(System suitability testing)
システム適合性試験は、多くの分析法にとって欠くことのできない一部分である。この試験は、装置、電子工学的技術を用いる系、分析操作及び分析試料がそれらだけで評価を行える完結したシステムを構成しているという考え方に基づいている。分析法において確立すべきシステム適合性のパラメータは、バリデートしようとする分析法のタイプに依存している。詳細については、薬局方を参照すること。