薬品部の概要および業績<平成18年>


概要
 我が国の医薬品の承認審査体制はここ数年の経過の中で大きく変化してきており,独立行政法人医薬品医療機器総合機構という,医薬品の承認審査と安全対策を担当する専門の担当機関が設立された.一方長年当所の医薬品部門が担ってきた新薬の承認申請の際に行う特別審査は平成16年度申請分をもって廃止された.このような変化の中で,当部が医薬品行政において果たす役割については,より技術的専門性を高める必要があると考えており,今後は「医薬品の品質,特に製剤評価技術に関する高度な技術専門家集団」への変化が当部の目指すべき方向と考えている.とはいえ,同時に一斉収去試験のような検査業務はもちろん、医薬品行政に関連して生じる様々な技術的問題に即応できる幅広な行政支援能力を堅持することは,当所医薬品部門のもう一つの責務である.
 医薬品規制に関連する課題も変化しつつある.一つは,「新健康フロンティア」あるいは「イノベーション25」といった,我が国の将来にむけた国家計画の中に,「医薬品開発の促進」あるいは「承認審査の迅速化」が大きく取り上げられたことである.この方針のもと,「革新的医薬品・医療機器創出のための5カ年戦略」が関係省庁合同で作成され,その中に「新技術に対応した審査基準の策定」があげられている.このような背景の中,当部では「高機能性製剤の評価技術開発研究」を本格的に立ち上げる予定であり,その準備を進めている.二つには医薬品の品質管理システムの近代化を目指した「製剤開発」,「品質リスクマネジメント」,「品質管理システム」の三つのICHガイドラインが国際調和した(あるいは調和に近づきつつある)ことである.これらのガイドラインの相当部分については,従来のICH品質ガイドラインと異なり,承認要件として求められるものではなく,医薬品の品質確保アプローチの一つとして提示されたものである.しかし,特に欧米では今後強く推奨される品質管理のアプローチとなることが予想され,製薬企業あるいは規制当局へのインパクトは極めて大きいものと考えられる.これら新しいガイドラインのめざす方向は平成17年に施行された改正薬事法のめざす方向とほぼ一致するものといえるが,我が国の規制制度に取り込むにあたっては,解決すべき問題も様々にあり,医薬品の品質評価法を研究対象とする当部にとっても行政支援研究の重要な課題といえる.三つは我が国において、重要施策として大きく取り上げられている「後発医薬品の活用策」である.この問題については,当部は既に生物学的同等性試験ガイドラインの作成,溶出試験企画の作成及び検証を行うとともに,品質再評価の実務に大きく貢献してきた.しかし,後発医薬品のさらなる活用に向けて,関連する行政支援研究を継続する予定である.
 人事面では,平成19年4月1日付けで柴田寛子博士が研究員として採用された.平成18年12月1日付けで保立仁美氏が非常勤職員として採用された.平成18年6月1日付けで堤幸子氏が派遣職員として採用された.平成19年1月9日より林祥斗氏が派遣職員として採用され,3月31日をもって終了した.平成19年4月1日より大迫勉氏が派遣職員として採用された.さらに藤巻康人氏のヒューマンサイエンス振興財団の流動研究員としての任期が平成19年3月31日で終了した.
 また,医薬品の品質保証の研究を推進するため,小嶋茂雄元薬品部長(医薬品医療機器総合機構顧問)を平成18年8月1日から,青柳伸男前薬品部長を平成19年4月1日から引き続き客員研究員として受け入れることとなった.さらに平成19年4月1日より田中光博士(東邦大学薬学部教授)を協力研究員として受け入れた.
 宮崎玉樹主任研究官は,厚生労働科学研究費補助金医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業研究推進事業研究者派遣事業によりミネソタ大学薬学部において,医薬品の安定性評価研究を行った(平成18年10月1日~平成19年3月30日).
 短期の海外出張については次のとおりである:川西徹部長はWHO-Biosimilarの国際一般名称に関する非公式会議に出席するためスイスに出張した(平成18年9月).香取典子主任研究官は第16回ミクロソームと薬物酸化に関する国際シンポジウム(MDO2006)で研究発表のため,ハンガリーに出張した(平成18年9月).檜山行雄室長は欧州における品質システム研究調査のため,ルクセンブルグ,英国,フランス,ドイツの行政機関に出張するとともに(平成18年9-10月),ICH専門家会議出席のため,米国に出張した(平成18年10月).坂本知昭主任研究官,小出達夫主任研究官は米国薬学会で研究発表のため米国に出張した(平成18年10-11月).四方田室長,吉岡室長,阿曽主任研究官は2006AAPS年会で研究発表のため,米国に出張した(平成18年11月).坂本知昭主任研究官は共同研究のためイギリスに出張した(平成18年11月).檜山行雄室長ISPE・PDA合同ICHQ8Q9ワークショップにおいて特別講演を行うため米国へ出張した(平成18年12月).川西徹部長はWHO-Biosimilarの国際一般名称の非公式公聴会議へ出席するためスイスへ出張した(平成18年12月).坂本知昭主任研究官は国内未承認輸入熱帯病治療薬の品質に関する調査のため中国へ出張した(平成19年1月).伊豆津健一主任研究官は,医薬品の品質確保に向けた分析・評価法と行政科学についての研究集会(WCBP 2007)に参加のため,米国に出張した(平成19年1月).


業務成績
  1. 一斉取締試験
     イプリフラボン錠 11品目.
  2. 医療用医薬品の品質再評価に係る溶出試験規格の妥当性検証
     アリメマジン酒石酸塩10mg/g散,アリメマジン酒石酸塩2.5mg錠,エトポシド25mgカプセル,エトポシド50mgカプセル,エトポシド100mgカプセル,ニカルジピン塩酸塩20mg徐放性錠,ニカルジピン塩酸塩40mg徐放性錠の溶出試験規格の妥当性を検討し,修正案を提案した.
  3. 薬事法に基づく登録試験検査機関の外部精度管理
     薬事法施行規則に規定する厚生労働大臣の登録を受けた試験検査機関のうち,42機関につき,外部精度管理としてISO17025に準拠した医薬品分析の技能試験を実施した.
  4. 国立保健医療科学院特別課程薬事衛生管理コース(GMP研修コース)への協力
     檜山室長,坂本主任研究官及び小出主任研究官は,国立保健医療科学院からの委託を受け,当該コースの主任ならびに副主任として,医薬品等製造所のGMP/QMS査察に当たっている薬事
  5. 国際協力
     檜山室長,坂本主任研究官及び小出主任研究官は,国立保健医療科学院からの委託を受け,当該コースの主任ならびに副主任として,医薬品等製造所のGMP/QMS査察に当たっている薬事監視員の研修のためのコースの設計ならびに実際の運営に当たった(平成18年5月22日~6月22日).
  6. その他
     薬事・食品衛生審議会の医薬品の承認審査ならびに再評価における審議(医薬食品局審査管理課,医薬品医療機器総合機構),日本薬局方,日本薬局方外医薬品規格,後発医薬品等の同等性試験ガイドライン作成作業,溶出試験規格作成,医薬品添加物規格および殺虫剤指針の改正作業(医薬食品局審査管理課),GMP専門分野別研修(医薬食品局監視指導・麻薬対策課)ならびに日本工業規格(JIS)の改正作業(経済産業省)などに協力した.
     またドリンク剤中で非意図的に生成するベンゼン含量の検査を行った(医薬食品局安全対策課).
     産官学の方が参加し,品質保証のあり方について討論する医薬品品質フォーラムに関しては,「製剤開発ガイドライン(Q8)の適用と品質概要(包括的QOS)の役割」のテーマで第5回シンポジウムを開催した(平成18年6月9日).


研究業績

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