薬品部の概要および業績<平成13年>


概要
 平成13年度には,引き続き医薬品の品質規格に関する研究,製剤評価に関する研究,ならびに麻薬および依存性薬物に関する研究について試験・研究を実施した.また,平成11年度に開始したミレニアムプロジェクト(薬剤反応性遺伝子解析による疾病・創薬推進事業)に関連する研究も継続して実施した.医薬品の品質規格に関する研究では,不正医薬品の簡易識別法の開発などの研究を行った.製剤評価に関する研究では,経口固形製剤のスケールアップ,製法変更の際の生物学的同等性を確保するための研究や溶出試験の適性化に用いる溶出試験用カリブレータを開発するための研究,ならびに製剤中における医薬品の安定性を支配する因子を解明することにより,その安定性を予測し得る試験法を確立するための研究などを行った.麻薬および依存性薬物に関する研究では,毛髪分析による薬物使用の鑑定法の研究などを行った.また、ミレニアムプロジェクト(薬剤反応性遺伝子解析による疾病・創薬推進事業)に関連する研究では,薬剤反応性遺伝子の多形解析に関する研究の一環として,ターゲットとする疾病の患者における薬物動態の検討を進めている.

 厚生省試験研究機関の再編が平成14年4月1日に現実のものとなった.医薬品分野では,この再編で国立公衆衛生院衛生薬学部が当所に移管されて,医薬品の安全性情報の解析評価,薬剤疫学的手法や薬物動態の解析による問題の掘り下げを業務とする「医薬安全科学部」に再編された.これまで衛生薬学部で行われてきたGMP関連の業務については,薬品部第3室で引き継ぐこととなった.一方,麻薬室が薬品部から生薬部に移管されて,麻薬関連の試験検査業務が生薬部に一元化されることになった.また,生物薬品部から「遺伝子細胞医薬部」が独立することになった.今回の再編によって,医薬品関連の部がこれまでの3部から5部に増えて,国立衛研の業務が医薬品の承認だけでなく,市販後の製造管理や安全対策にまで広がったことになる.形の上からはバランスがかなり良くなったように感じられるが,この業務の広がりに見合うだけの人員は手当されていない.新しい業務が課せられたところに配置された人達にはその分野を積極的に開拓しくことを期待したいが,人が足りないという壁を何とかしないとこうした新しい業務も結局思うように展開できずに終わってしまうのではないかと危惧される.薬品部も,これまで規格・試験方法の検討が中心であった第3室の業務にGMP関連の業務が新しく加わることになり,医薬品の品質管理の両輪となる規格に基づく品質試験と製造管理を一元的に検討できるようになったが,そのための人員増はなく,第3室のわずか2名で新しい業務にも対応することになる.このGMP関連の業務への対応も含めて,薬品部の今後の方向について部内でも十分検討する必要があると考えられる.

業務成績
  1. 特別審査試験
    新薬50件について試験した.
  2. 一斉取締試験
    アジマリン錠(溶出試験) 2品目
  3. 特別行政試験
     あへん中のモルヒネの含量について試験を行い,医薬局監視指導・麻薬対策課に報告した
    (国産あへん15件,輸入あへん91件,合計106件).
  4. 国際協力
     国際厚生事業団(JICWELS)の第17回アジア諸国薬事行政官研修(平成13年6月)および第12回必須医薬品製造管理研修(平成13年10月)に協力して,アジア諸国の薬事行政官ならびに医薬品製造管理者に対する研修を行った.
     国際協力事業団のフィリピン薬局方プロジェクトに協力して,平成13年6〜12月の6ヶ月間,フィリピン食品医薬品局の Rosario M. dela Cruz 氏および Yolanda O. Zurita の両氏を同プロジェクトの研修員として薬品部に受け入れ,薬局方制定に必要な試験技術に関する指導を行った.
  5. その他
     薬事・食品衛生審議会の医薬品の承認審査ならびに再評価における審議(医薬局審査管理課,国立医薬品食品衛生研究所医薬品医療機器審査センターおよび医薬局安全対策課),日本薬局方,日本薬局方外医薬品規格および医薬品添加物規格の改正作業(医薬局審査管理課),GMP専門分野別研修(医薬局監視指導・麻薬対策課),麻薬および乱用薬物に関する情報収集(医薬局監視指導・麻薬対策課)ならびに日本工業規格(JIS)の改正作業(通商産業省)などに協力した.また、ISO/TC69国内対策委員会に参加し,国際標準規格の作成および日本工業規格(JIS)の作成に協力した.
     平成12年度までの厚生科学研究により国立衛研および全国の地方衛研の間に構築された双方向ネットワーク(衛研薬事ネットワーク)を、医薬品を巡る種々の情報ならびに検査データや試験法などに関する情報の交換の場として、化学物質情報部の協力の下に維持した.地方衛生研究所が溶出試験の一斉取り締まり試験を行う際に使用する標準品59品目を用意し配布した.

研究業績

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