2. 評価法

Q-28. AUCの計算は、どのような方法を用いるのか。
(A) 実測値を直線で結んだ台形の面積を計算する方法を用いる。

Q-29. 吸収率Fをデコンボルーションで求める場合の、参考文献を示してほしい。
(A) 次のような文献をあげることができる。
  • D.P. Vaughan, and M. Dennis, Mathematical basis of point-area deconvolution method for determining in vivo input functions. J. Pharm. Sci. 67, 663 (1978).
  • K. Iga, et al., Estimation of drug absorption rates using a deconvolution method with nonequal sampling times. J. Pharmacokinet. Biopharm. 14, 213 (1986).
  • D. Verotta, An Inequality-constrained least-squares deconvolution method. J. Pharmacokinet. Biopharm. 17, 269 (1989).

Q-30. MRTは参考パラメータとして必要か。
(A) MRTは消失速度定数が小さい薬物では、製剤間のバイオアベイラビリティの速度の差を識別する能力が低い。しかし、消失速度定数が大きい薬物では、製剤間の速度の差を識別する能力が高く、統計学的な検出力も高い。製剤間のバイオアベイラビリティの速度の変動に対してtmaxは感度の高いパラメータであるが、同パラメータは統計学的検出力が低いことが指摘されている。このため、tmaxを補完する参考パラメータとして、MRTは有用である。

Q-31. 参考パラメータを提出する意義を教えて頂きたい
(A) 生物学的同等性の評価はAUC、 Cmaxの二つのパラメータだけで必ずしも十分であるとは考えられない。検出力が低い等の理由からtmax等は判定パラメータとせず参考パラメータとしたもので、参考パラメータに有意差が生じた場合、AUC、 Cmaxが同等であっても無条件に生物学的に同等な製剤として取り扱うことはできない。また、消失速度定数が仮説検定において有意な差が検出された場合には、観測された消失相の勾配が消失速度定数ではなく吸収速度定数である可能性を与え、吸収速度に製剤間に差がある可能性を示唆する。この観点から参考パラメータの提出を求めたもので、統計的有意差が検出された場合、治療上の同等性の点からその差が問題とならない差であるかどうかの説明が必要である。検討する参考パラメータは、医薬品の特性によって異なる。例えば、徐放性製剤などでは、VRTや血中濃度の変動巾などを評価できるパラメータの検討が必要な場合も考えられる。

Q-32. 対数変換は必ず行わなければならないか。必要に応じて対数変換を行うのでもよいか。
(A) 国際調和の原則に基づいて、対数変換した値を用いて評価を行う。未変換データの方が正規分布、変換データの方が非正規分布であることが明白な場合など、変換データで解析を行うことが適切でないときにはその旨を示し、未変換データにより評価してもよい。

Q-33. パラメータの値が0である被験者の対数変換をどうするか。
(A) 対数変換を行うことで、パラメータの値が0である被験者を除くことは情報を切り捨てることになり好ましくないので、パラメータ値が0である被験者のデータも含めて未変換データで解析を行う。

Q-34. 未変換データの生物学的同等性の判定はどのようにしたらよいか。
(A) 未変換データの場合には、生物学的同等の許容域は、試験製剤と標準製剤のパラメータの母平均の差を標準製剤の母平均に対する比として表すとき、-0.20〜+0.20である。従って、標準製剤のパラメータの平均値をmで表すと、試験製剤と標準製剤の生物学的同等性判定のパラメータの平均値の差の90%信頼区間が、-0.20m〜+0.20mに含まれているときに生物学的に同等と判定する。溶出試験の結果が同等と判定される場合には、パラメータの平均値の差が-0.10m〜+0.10mに含まれているときに、生物学的に同等と判定してよい。

Q-35. 例数設計に関する参考文献を示して頂きたい。また、合理的な理由があれば、新ガイドラインに示した解析方法以外の方法を用いて解析してもよいとあるが、具体的にどのような方法があるか。
(A) a. 例数設計
例数の設計に当たっては、予試験の結果、文献調査の結果などを利用して、医薬品の個人内変動の大きさを予測し、下記の文献を参考にして、例数設計を行うとよい。なお、未変換データの引用文献は、2つの片側検定を適用する判定方法の例数設計であるが、2つの片側検定を適用する判定方法は、90%信頼区間 による判定法と全く等価の結果を与える。2つの片側検定を生物学的同等性試験に適用する方法に関する文献もここに引用する。
  • (対数変換データ)E. Diletti et al., Sample size determination for bioequivalence assessment by means of confidence intervals, Int. J. Clin. Pharmacol. Ther. Toxicol., 30 Suppl. 1,S51〜58 (1992).
  • (未変換データ) K.F. Phillips, Power of the two one-sided tests procedure in bioequivalence. J. Pharmacokinet. Biopharm., 18, 137 (1990).
  • (2つの片側検定を生物学的同等性試験に適用する方法) D.J. Schuirmann, A comparison of the two one-sided tests procedure and power approach for assessing the equivalence of average bioavailability, J. Pharmacokinet. Biopharm., 15, 657 (1987).
b. 新ガイドラインに示した解析方法以外の方法
ノンパラメトリック法による判定法:パラメータが正規分布に従わない場合 には、ノンパラメトリック法で求めた90%信頼区間を判定に用いてもよい。以下に参考文献を示す。
  • V.W. Steinijans and E. Diletti, Statistical Analysis of Bioavailability Studies: Parametric and Nonparametric Confidence Intervals, Eur. J. Clin. Pharmacol.,24, 127 (1983).
同一製剤2期以上を含むクロスオーバー試験:クリアランスの個人内変動が 大きい医薬品では、同一製剤2期以上を含むクロスオーバー試験を行うと残差変動からクリアランスの個人内変動を分離することができるので、生物学的同等性試験の検出力を上げることができる。そのために、総被験者数を下げることが可能である。以下の参考文献がある。
  • S-C Chow and J-P Liu, On assessment of bioequivalence under a higher-order crossover design. J. Biopham. Stat., 2, 239 (1992).
  • G. Ekbohm and H. Melander, The subject-by-formulation interaction as a criterion of interchangeability of drugs. Biometrics, 45, 1249 (1989).
並行群間比較試験法:消失半減期が非常に長い医薬品では、クロスオーバー試験ではなく、並行群間比較試験法で試験を行ってよい。解析法は通常の一元配置実験計画法に従う。

Q-36. ノンパラメトリック法及び2つの片側検定で解析を行ったときの生物学的同等性の判定基準を示してほしい。
(A) ノンパラメトリック法で解析した信頼区間を用いて生物学的同等性を評価するときにも、対数変換データを用いる場合には、新ガイドラインに示されているパラメトリックな解析方法と同じ判定基準に従う。未変換データを用いる場合には、Q-34に示した判定基準に従う。
2つの片側検定の帰無仮説及び対立仮説は下記の通りである。

H0: μ ≦ θ1, μ ≧ θ2
H1: θ1 < μ < θ2

対数変換データでは、μ は log(μt/μr) となり、θ1 = log0.80、θ2 = log1.25 となる。 未変換データでは、μ は (μt - μr)/μr であり、θ1 = -0.20、θ2 = +0.20 となる。μt及び μrは試験製剤及び標準製剤の生物学的同等性判定のパラメータの母平均を表す。上記の2つの帰無仮説が有意水準5%で棄却されるときに2つの製剤は生物学的に同等と判定される。

Q-37. 持越し効果が有意になった場合には試験をやり直さなければならないか。
(A) 一般的には、2x2クロスオーバー法では、群効果と持越し効果とは区別がつかない。持越し効果が有意になった場合には結果の解釈が不能であるが、群効果が有意の場合には結果の解釈は可能である。従来は、群間の割付けに偏りがあるなど、持越し効果ではなく群効果による有意差であるという考察が行われた場合には、結果を受け入れてきた。しかし、通常、割付上の偏りがあったことを証明することは困難であり、また、同一薬物のバイオアベイラビリティの比較試験を行う生物学的同等性試験に限っては、プロトコルが遵守されていれば、持越し効果が生じることは本来考えにくいので、持越し効果に関する考察を問わないことにした。

Q-38. 対称信頼区間を用いて生物学的同等性を評価してもよいか。
(A) 新ガイドラインに採用した90%信頼区間(最短、非対称)又は2つの片側検定 (α=0.05)を用いる生物学的同等性の判定基準は、標準製剤のバイオアベイラビリティの80%又は125%のバイオアベイラビリティを有する製剤が95%の確率で不合格となるように設定されている。これは、消費者危険率が5%であることを意味する。新ガイドラインで示されている以外の方法で判定を行う場合にも、消費者危険率は5%以下としなければならない。そうするためには対称信頼区間を適用する場合には、その信頼係数は95%となる。その結果、対称信頼区間の方が生産者危険率は最短非対称信頼区間よりも大きいので、同方法を適用しても差し支えないが、利点はほとんどない。(V.W. Steinijans and D. Hauschke, Update on the statistical analysis of bioequiavelence studies, Int. J. Clin. Pharamcol. Ther. Toxicol., 30, 543 (1992)).

Q-39. 「作用緩和な薬物」の具体例を示してほしい。
(A) 医薬品の特性を考慮して、ケースバイケースに申請者が科学的に判断して説明を加える。許容域の広さは、試験を行う前に決定しておかなければならない。

Q-40. tmaxについてはノンパラメトリックな検定方法を採用してもよいか。
(A) 差し支えない。



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III.薬力学的試験


Q-41. 下剤、止瀉剤、造影剤、吸着剤、粘膜防御剤、整腸剤のような消化管に直接作用する医薬品については、動物による薬力学的試験で生物学的同等性を証明してもよいか。
(A) 上記のうち、有効成分の吸収を期待しない医薬品であって、作用緩和なもので、且つ、文献その他により動物試験が科学的に妥当であると判断される場合は、やむを得ず動物試験も認められることがある。但し、物理化学的試験法(溶出試験法等)において試験製剤と標準製剤が同等と判断された場合に限る。なお、動物試験によって生物学的同等性を証明する場合には、用量と効果との関係を検討した上で投与量の設定を行い、同等性の判定はヒト試験に準じる。


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