牛乳および粉末乳中のアフラトキシンM1試験法のコラボラティブスタディ概要

 

1 はじめに

乳中のアフラトキシンM1試験法は食品衛生検査指針(理化学編)、日本での実態調査およびヨーロッパでのコラボスタディに用いられた方法を参考にプロトコールを設定した。牛乳材料6種類、参加機関は11機関、測定方法はイムノアフィニティーカラムによる精製後、HPLC(蛍光検出)で行った。

 

2 材料

  アフラトキシンM1添加濃度1.0ng/g0.5ng/g0.05ng/gと無添加の4種類を設定し、各2本ずつ送付した。(試料番号は乱数番号)

  添加用牛乳には市販のホモジナイズ高温殺菌牛乳を用いた。

  自然汚染牛乳は50mLを各2本送付した。

  汚染粉末乳はFAPAS(food analysis performance assessment scheme)よりアフラトキシンM1濃度0.473ng/gのものを購入し、小分けして用いた。

  イムノアフィニティーカラム、PBS錠剤も送付した。

 

3 コラボ参加機関名

川崎市衛生研究所、キユーピー(株)、(財)食品分析開発センターSUNATEC、日本エコテック()、(財)日本食品分析センター、浜松市保健環境研究所、三重県保健環境研究所、明治乳業(株)、森永製菓(株)、雪印乳業(株)(あいうえお順)

 

4 方法 

 カビ毒分析法評価委員会のホームページ(http://www.nihs.go.jp/dmb/kabi/kabi.html

 方法の詳細についてはホームページのプロトコールを参照のこと。

 

5 結果および評価

 「カビ毒試験法評価委員会」に評価を依頼した。以下その評価を示す。

評価の詳細は平成21年度 第2回カビ毒試験法評価委員会議事録を参照のこと。

表1の牛乳中および粉末乳中のアフラトキシンM1試験法の測定値とパラメーターより、添加濃度1.0ng/gA液)、0.5ng/g(B)0.05ng/gC液)および粉末乳の添加回収は88.294.5%と良好であった。RSDr(併行標準偏差)RSDR(室間再現相対標準偏差)、修正HorRatRSDR%を添加濃度からの経験則の値22%で割った値)は自然汚染牛乳も含め、RSDr2.18,9%、RSDR6.311.9%、修正HorRat0.290.54となった。修正HorRatが2を超えるものはなかった。委員会の議論より、機関9をinvalid(無効)とし有効Lab(機関)数から外してある。同濃度の結果が一つしか報告されていない場合も同様にinvalidとし有効Lab(機関)数から外してある。

10機関中、8機関は定量限界(LOQ)が0.01ng/g以下であり、委員会の議論よりブランク液の平均値の0.01ng/gを添加用牛乳のブランク値とした。表1ではA,B,C液より、ブランク値0.01ng/gを引いた値を表している。特にC液では添加濃度が0.05ng/gであり、ブランク値を引き算しない場合は2割高い濃度が測定され、回収率が高い結果になると予想された。

 

6 まとめ

牛乳および粉末乳中のアフラトキシンM1試験法について、前処理にアフィニティカラムを用い、測定をHPLC-蛍光検出器で行う方法の妥当性を11機関により検証した。結果を「カビ毒試験法評価委員会」で評価し、0.01ng/gから1.0ng/gの濃度の間であればその妥当性はあるとの結論を得た。

 

表1 牛乳および粉末乳注のアフラトキシンM1試験法の測定値とパラメーター