FDAの医薬品安全情報
FDAは,経腸栄養剤でのFD & C Blue No. 1(青色1号)の使用に経時的に関連した死亡事例等の毒性報告について注意を喚起する。これらの報告では,青色1号は,経腸栄養チューブ栄養を摂取している患者において肺吸引の検出および/またはモニタリングしやすいように使われた。報告症例では,皮膚,尿,便,または血清での青色変色が見られ,また数例は難治性低血圧,代謝性アシドーシス,および死亡等の重篤な合併症に関連していた。症例報告では,重篤な患者,特に腸透過性の増大の可能性がある患者(例:敗血症の患者)はこれらの合併症の可能性が大きくなる。これらの事例は自発報告であり,使用の全体数がわかっておらず,発生率を確定することは難しい。
FDAは2003年9月の時点で,青色着色の経管栄養による体液と皮膚での青色変色(重篤な合併症を含む)に関連した事例を文献およびFDA市販後有害事象報告で20例確認した。そのうち12例が死亡事例で一例は転帰不明であった。
短時間作用型インスリン分泌促進薬である[‘Prandin’] (repaglinide)と,異脂肪血症の治療に用いられる脂質低下薬である [‘Lopid’](gemfibrozil)の薬物相互作用が,最近Niemiらの発表*で報告された。研究によると,健常人ボランティアにおいて[‘Prandin’] とgemfibrozilの併用は,repaglinideの血中濃度を有意に上昇する結果となった。Gemfibroziと[‘Prandin’] は,抗真菌薬であるitraconazoleの併用で,さらにその影響を増大した。[‘Prandin’] とitraconazoleの組み合わせは,[‘Prandin’] とgemfibrozilの組み合わせより影響は弱かった。
Repaglinideの薬物動態の変化は,gemfibrozilとitraconazoleによるチトクロームP-450酵素系の阻害が原因である。血糖値の変化はこれらの併用薬物に影響され,repaglinideの薬力学的効果の増大と延長を伴った。研究は健常人ボランティアにおいて行われたものであるが,Novo Nordisk社は2型糖尿病患者に対して低血糖のリスクの増加が否定できないとして,これらの結果が重大であると考えている。
他のフィブラート系抗高脂血症薬は,現在わかっている代謝では,この系統の薬物と[‘Prandin’]ではこのような相互作用は予想されない。
添付文書の改訂は以下のとおりである。
臨床薬理学
薬物相互作用:Gemfibrozilとitraconazole:gemfibrozil(600 mg)と[‘Prandin’] 0.25mg/回(600 mg gemfibrozil,1日2回投与の3日後)の併用はrepaglinideのAUCを8.1倍に増加し,repaglinideの半減期を1.3から3.7時間に延長した。Itraconazoleと[‘Prandin’] 0.25mg/回(itraconazole初回量200 mg,100 mg,1日2回投与の3日目)の併用はrepaglinideのAUCを1.4倍に増加する結果となった。[‘Prandin’] とgemfibroziおよびitraconazole両剤との併用投与はrepaglinideのAUCを19倍増加し,repaglinideの半減期を6.1時間に延長した。7時間後の血漿repaglinide濃度はgemfibrozilとの併用で28.6倍の増加,gemfibrozil-itraconazoleの併用で70.4倍に増加した。
警告
薬物相互作用:健常人被験者における[‘Prandin’] とgemfibrozilの併用投与を評価した研究のin vivoのデータから,repaglinideの血中濃度の有意な上昇が見られた。[‘Prandin’] 服用患者はgemfibrozilの服用を開始すべきではない;gemfibrozil服用患者は,[‘Prandin’]の服用を開始すべきではない。併用投与は結果としてrepaglinideによる血糖降下作用の増大および延長を起こす可能性がある。[‘Prandin’]とgemfibrozilをすでに投与されている患者には注意が払われ,血糖濃度がモニターされるべきであり,[‘Prandin’] 用量調節が必要とされる可能性がある。[‘Prandin’] とgemfibrozilを併用している患者において,まれに重篤な低血糖の市販後の事象が報告されている。Gemfibrozilとitraconazoleは[‘Prandin’]と相乗の代謝阻害効果を持つので,[‘Prandin’] とgemfibrozilの服用患者はitraconazoleを服用すべきではない。
この概要は,各医薬品製剤の禁忌,枠組み警告,警告,使用上の注意,副作用の箇所の表示の改訂を含む。簡易版(表1)には医薬品名と改訂箇所のリスト,また詳細版には改訂になった項目とその小見出し,禁忌または警告,及び新規または更新された安全性情報が掲載されている。
この概要は,各医薬品製剤の禁忌,枠組み警告,警告,使用上の注意,副作用の箇所の表示の改訂を含む。簡易版(表1)には医薬品名と改訂箇所のリスト,また詳細版には改訂になった項目とその小見出し,禁忌または警告,及び新規または更新された安全性情報が掲載されている。
Roxane Laboratories社は,[‘Orlaam’](levomethadyl hydrochloride acetate)内用液10 mg/mLの販売と流通を在庫がなくなり次第終了する。2004年の第1四半期に終了すると予測される。1995年に[‘Orlaam’]が発売されて以来,Roxane Laboratories社はQT間隔延長(15件),トルサード・ド・ポアン(8件)および心停止(6件)を含む重篤な心臓関連の有害事象の増加の報告を受けている。不整脈,失神および狭心症を含む他の心臓関連有害事象も報告されている。これらの事象により2001年5月のヨーロッパ市場から[‘Orlaam’]が回収され,2001年4月には米国の添付文書に広範囲な変更(警告と禁忌の追加を含む)がなされた。これらの変更により,[‘Orlaam’]の使用は最近2年余りで劇的に減少した。[‘Orlaam’]の恩恵を受けるわずかな患者がいる一方で,毒性の低い別の治療法があるにもかかわらず引き続き流通し使用するリスクは,全体的なベネフィットを上回るものと考える。
[‘Orlaam’]は麻薬依存の治療に適応を持つ合成オピオイド作動薬内用液であり,麻薬依存に対する他の十分な治療に期待通りの反応を示さない麻薬依存患者の治療に限定使用される。麻薬依存の治療に対して,他の第一選択薬としてmethadone,および最近FDAにより承認されたbuprenorphineなどが使用できる。
2004年に入って入手不可能が予測されるので,新規に[‘Orlaam’]療法を開始すべきではない。以下の情報は[‘Orlaam’]の現在の添付文書からのものである。
[‘Orlaam’]からMethadoneへの移行
[‘Orlaam’]で維持されている患者は,そのままmethadoneへ移行することが可能である。2つの化合物の代謝物および薬理学的な半減期の違いより,methadoneは置換される[‘Orlaam’]の用量の80%からの開始が推奨される;methadoneの初回投与は[‘Orlaam’]の最終投与の48時間以降に行うべきである。離脱症状および/まれに起こる過度の鎮静をコントロールするために,臨床的な観察に基づき5−10mg/日のmethadoneの増減が可能である。