痴呆および記憶障害の発生に関してのestrogen/progestin 併用療法の結果は、FDAが承認している同薬の使用法に何ら変更の指示はないと、FDAは言明した。FDAはこの新たな情報を検討し、ラベリングの変更が必要かどうか決定する予定である。 最初のWHI 試験の結果発表後も、FDAは、ほてり、寝汗または灼熱感、そう痒感、乾燥等の外陰部および膣の中等度から重篤な症状の治療に同併用療法が有効であると強調してきた。しかし骨粗鬆症の予防には、estrogen剤以外の承認薬の使用を薦めている。またFDAは、アルツハイマー病や記憶喪失等の認知障害の予防へestrogen単独またはprogestinとの併用の適応は承認されていないことも勧告している。 FDAは、医師に相談の上、患者が両剤の併用が適切と判断すれば、重篤な副作用を避ける投与量は不明だが、最小投与量を最短期間使用するよう注意を喚起している。 (今回の試験結果については、JAMA文献情報参照のこと。) 参加者4500人(65-79才)のうち、60人が痴呆と診断されたが、そのうち39人(65%)はHRT群で、21人(35%)はプラセボ群であった。この知見は、統計学的には有意であるが、個々人に対するリスクは小さい。また、参加者は典型的な閉経後女性の年齢より少なくとも15才以上高齢である。 これまで数多くの疫学研究によってHRTがアルツハイマー病のリスクを減少させるといったことを受けて、WHIMS試験は実施された。しかし、この研究の評価が完全に終わるまで、FDAは最終結論を出さないとしている。 WHI 試験を行った米国国立衛生研究所(NIH)とも、estrogen/progestin 併用療法の安全で効果のある使用法について協議していくこととしている。 FDAは、 [‘Velcade’] (Bortezomib) を4ヶ月弱の審査で承認。[‘Velcade’]は、プロテアソーム阻害剤で新しいタイプの抗がん剤である。[‘Velcade’]は、既存の治療法で再発したか抵抗性を示す患者への適応である。少なくとも他の2種類の治療法を受けたが進行性である患者202人での治験で、188人について反応を評価、28%が反応を示し、反応期間の中央値は1年であった。多発性骨髄腫を再発した54人の治験でも、同様の結果であった。しかし、生存率の改善といった臨床的有効性を示す比較試験は行われていない。 治験で多く報告された副作用は、吐き気、倦怠感、下痢、頭痛、食欲減退、血小板減少、赤血球減少、発熱および末梢性ニューロパシー(しびれ感、ピリピリ感、時に四肢の痛み)である。 多発性骨髄腫は、非ホジキンリンパ腫についで2番目に多い血液がんで、抗原産生の免疫系の重要な部分を担うプラズマ細胞のがんである。米国では、現在45,000人の患者がおり、毎年14,600人が新たに罹患する。 米国の消費者向けに、特に激しい運動をする時や、caffeineのような興奮剤と[‘Ephedra’] 含有製品を使用する場合の注意を喚起した。有害事象(心臓発作による多臓器不全,過量による心停止など)、乱用防止のための方策などについて掲載した。 [‘Ephedra’] は、アドレナリン様興奮剤なので、神経系や心臓に対して危険な影響を及ぼす可能性がある。[‘Ephedra’] は中国漢方の麻黄由来の天然物で、体重の減量や運動能力の高揚を促進する。その主な有効成分はephedrineである。 2003年2月、HHSの部会で、1,500件の有害事象を見直したところ、125件は合成ephedrine含有製品に関与していた。 FDAは、従来の2つの治療法に抵抗性があるか反応しない難治性の患者142人を含む216人の非小細胞肺癌患者の研究結果に基づいて、[‘Iressa’] (gefitinib) を承認した。その反応率(少なくとも腫瘍の50%縮小が、少なくとも1ヶ月間継続と定義)は、約10%であった。反応期間の中央値は7ヶ月であった。2002年9月24日に、the Oncologic Drugs Advisory Committee (ODAC) が、他に実行可能な治療法がない非小細胞肺癌に第三の治療法として、10%の反応率は臨床的なメリットがあるとして[‘Iressa’]の承認を推奨した。女性の腺癌の患者(約17%)と男性の喫煙者(約5%)では、反応率に大幅な違いがみられた。 日本から[‘Iressa’]を投与した患者に、重篤な、致命的な間質性肺炎(ILD)が発生したという報告があり、FDAは[‘Iressa’]の再調査を3ヶ月間延長した。臨床試験からの新しい毒性情報と約23,000人の患者を含む[‘Iressa’]の広範囲な治験の総合的な分析から、FDAは間質性肺炎(ILD)の発生率を日本では約2%、米国の広範囲な治験では約0.3%、そのうち約3分の1が死に至ったと判定した。FDAはこの稀で重篤な[‘Iressa’]の毒性は、非小細胞肺癌患者で示されたベネフィットを超えるものではないとしている。肺および気管支癌は2番目に多いがんで、非小細胞肺癌は肺癌全体の80%を占める。 FDAの医薬品安全情報
Estrogen/Progestin 療法のWHIMS 試験
FDA、多発性骨髄腫の治療に[‘Velcade’] (Bortezomib)を承認
公衆衛生官が[‘Ephedra’](ephedrine)の使用に対する注意喚起
FDAが新しいタイプの肺がんの薬を承認