生活衛生化学部 第3室-水道水質検査方法の妥当性評価

水道水質検査方法の妥当性評価

 水道水質検査方法の策定と運用に関しては,これまでに幾つかの課題が指摘されていました.

  • 標準検査法の設定には,明確な判断基準の妥当性評価が必要.
  • 新しい標準検査法を検査機関が導入する場合,各検査機関において明確な判断基準の妥当性評価が必要.
  • 標準検査法では「同等以上」の機器等の使用が認められているが,「同等以上」の判断は個々の検査機関に委ねられている. 標準検査法ではない方法が,標準検査法と「同等以上」であることを示すための判断基準と妥当性評価が必要.

 これらの課題に対応するため,「水道水質検査における妥当性評価ガイドラインLinkIcon」を生活衛生化学部 第3室が主導して策定し,平成24年9月6日に厚生労働省から通知LinkIconされました(同ガイドラインは,平成25年10月1日から施行).また,平成26年1月15日には,同ガイドラインの補足的位置付けとして,「水道水質検査方法の妥当性評価ガイドラインに関する質疑応答集(Q&A)LinkIcon」が厚生労働省から事務連絡LinkIconとして発出されました.

新着情報

ガイドラインの概要

 「水道水質検査方法の妥当性評価ガイドラインLinkIcon」では,添加回収試験を行い,各パラメータがそれぞれの目標を満たすことを確認することとなっています.

  • 選択性:検査対象物を含まない水道水等を用いて試験した時に,妨害ピーク等がないか,判定値または定量下限に対応する濃度のピークの1/3未満であること.
  • 真度:添加試料を用いて繰り返し試験し(n≧5),下記の目標を満たすこと.
  • 精度:添加試料を用いて繰り返し試験し(自由度≧4),試験結果の相対標準偏差(RSD)を求め,併行精度および室内精度が下記の目標を満たすこと.

 なお,ガイドラインに基づく検査結果は,公式な検査結果として認められます.

基準値等に対する添加濃度の割合

真度 (%) 併行精度 (RSD%)

室内精度 (RSD%)

1/100以下

70~120

<30

<35

1/100超~1/10以下

70~120 <25 <30

1/10超~1倍以下

70~120
<15
<20
 1

倍超

70~120 <10 <15

ガイドラインの適用例


生活衛生化学部 第3室では,水質管理目標設定項目に該当する農薬類および要検討項目に該当するエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の検査方法の開発において,開発した検査方法の妥当性評価を行いました.
 また,妥当性評価の結果の一部については,水道協会雑誌に論文投稿し,現段階では2013年7月号(固相抽出-GC/MSによる水道水中の未規制農薬の一斉分析法の妥当性評価)および2013年8月号(固相抽出-誘導体化GC/MS法を用いたEDTA検査法の妥当性評価)に論文が掲載されています.

agricultural chemicals_validation.png
農薬類の検査方法の妥当性評価の試験デザイン

EDTA_validation.png
EDTAの検査方法の妥当性評価の試験デザイン

参考文献

  • 小林憲弘,久保田領志,田原麻衣子,杉本直樹,木村謙治,林広宣,山田義隆,小林利男,舟洞健二,三枝慎一郎,古谷智仁,杉本智美,五十嵐良明:固相抽出-GC/MSによる水道水中の未規制農薬の一斉分析法の妥当性評価.水道協会雑誌,82(7), 2-12 (2013)..
  • 久保田領志,小林憲弘,田原麻衣子,今村悠佑,木村謙治,小林利男,齋藤信裕,杉本智美,林広宣,古谷智仁,舟洞健二,三枝慎一郎,山田義隆,杉本直樹,西村哲治,五十嵐良明:固相抽出-誘導体化GC/MS法を用いたEDTA検査法の妥当性評価.水道協会雑誌,82(8), 2-11(2013).
  • 小林憲弘,久保田領志,高玲華,安藤正典,五十嵐良明:液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC/MS/MS)による水道水中農薬類の一斉分析法の妥当性評価.水道協会雑誌,83(4), 3–14 (2014).
  • 小林憲弘,久保田領志,木村謙治,金田智,茶木哲,天満一倫,田中美奈子,三枝慎一郎,小林利男,舟洞健二,齋藤信裕,杉本智美,古谷智仁,小嶋和博,平林達也,五十嵐良明:水道水中11農薬を対象とした固相抽出-GC/MS一斉分析法の妥当性評価.水道協会雑誌,83(9),11–22 (2014).
  • 久保田領志,小林憲弘,齋藤信裕,鈴木俊也,小杉有希,田中美奈子,平林達也,五十嵐良明:固相抽出-LC/MS法によるフェノール類検査法の妥当性評価.水道協会雑誌,印刷中.