第8回OECDナショナルコーディネーター会議審議概要


 病理部 三森国敏

 開催場所、時期:パリ(フランス)、平成9年4月23日ー24日

 参加者: 参加国;24カ国、 出席者;52人

 会議内容:

1.情報交換
(1) 今回からInternetでOECDのホームページにアクセスすると最新のOECD試験ガイドライン(OECD-TG)草案とガイダンス・ドキュメントの閲覧が可能となり、一般のヒトからもこれらの草案に対してNCを通じてコメントをだすことが可能となったとの説明があった。しかし、各国のナショナルコーディネーター(NC)の氏名および連絡先が未だにOECD事務局に知らせてない加盟国(日本も含む)があるので、一般からのコメントの収集のためにも至急連絡してもらいたい旨が説明された。
(2) ナショナルエキスパート(NE)の変更後のリストを事務局宛提出することになっているが、今までにスイスのみから連絡があったとの説明があった。日本からは未だ提出されていないとのこと。早急に対応すべきとのことであった。
(3) OECD-TG作成においては、医薬品ICHの動向と歩調をあわせるべきであることが前回のNC会議(NCM)において強調され、ICHとの協力体制を強化する方向でOECD事務局はICHに働きかけてきたが、未だICHから詳細な情報は得られていないとの説明があった。

2.哺乳動物を用いた急性毒性のための上げ下げ法(UDP)試験ガイドライン
 昨年8月に提案されたUDPの新TG原案に対する各国からのコメントをOECD事務局が整理し、今回のNCMでその修正原案について討議がなされた。その結果、大幅な変更なくこのTGの最終草案が今回のNCMで承認された。
 この承認により、UDP、固定用量法(FDM)、急性毒性等級法(ACM)の三つの代替法がTG草案として完成したが、従来のLD50を求めるTG401が存在する限り、これらの代替法を採用する企業体は非常に少ないであろうとの意見が英国から出された。また、TG401を廃止すべきとの意見も出たが、米国から、依然LD50値を法律上から要求している国もあることから、現時点で廃止することは困難であるとの意見が出された。以上の議論から、急性毒性の代替法の短所・長所について記載されたガイダンス・ドキュメント(GD)の作成が早急に必要であり、このGDの完成を待って次回のNCMでTG401の削除について最終的な討議を行うこととなった。

3.経皮吸収試験
 このin vitro TG原案の提案に関しては、米国と欧州各国との間で意見に大きな差があった。前回のNCMでは、提案されたin vitro法の有用性についてのワークショップを開催することが決定された。その後、二つの試験法(in vitroとin vivo)原案に対して14加盟国からコメントが送付され、in vivo法についてはその方法を指示する加盟国が多かったが、in vitro法についてはカナダ、米国、フランスからこの方法には問題があるとの反対の意見出された。これらについてさらに討論するため、ワークショップを米国NIEHSで今年10月に開催することが確認された。

4.哺乳動物を用いた90日間反復経口毒性試験ガイドライン
 TG408と409の改訂原案は昨年3月に加盟各国に回覧され、そのコメントが事務局に回収された。その結果、殆どのコメントは用語に関するものであり、全体的にはこの内容に同意するとの意見であった。事務局により、これらのコメントを考慮して改訂原案が作成され、今回のNCMでそれについて討議がなされた。一部の変更の後、TG408と409の改訂草案が承認された。

5.内分泌撹乱物質(EDC)についての質問状および詳細な総括報告書
 EDCについての質問状が北欧諸国とOECD事務局の協力により作成され、昨年12月に加盟各国に送付された。締切の3月14日時点で日本、米国を含む9カ国からの返答がなされなかったが(今回のNCMまでには米国と日本からの返答は受理されたとの説明がなされた)、17カ国から回答があった。今回のNCMでは、その集計結果が報告され、各国ともこのEDCに関する問題を重要視しており、これらの物質についての調査や安全性評価にどのような研究が必要か等についての検討班を設立し、その結果を公表する予定である国が多いとの結果が得られた。しかし、今後、どのように規制するかについては、国により見解が異なっていた。また、これらの物質についてのヒトへの影響については不明な点が多く、既存のTGにどのような検査指標を加えることによりEDの作用を検出出来るかについては今後さらなる検討が不可欠であることが強調された。未だ回答のない加盟国もあることから、この質問状に対する回答を送付していない国あるいは更なるコメントを出したい国は5月15日までに事務局までなんらかの返答をして欲しい旨の説明があった。
 昨年12月2-4日に英国WeybridgeでEDCについてのワークショップ(WS)が開催され、その報告書が今年3月に完成した。そのWSでは、5つの分野に分かれた作業班が結成され、それぞれの分野における現状の把握と問題点の提起がなされた。今後のEDCに対する規制に必要となるEDC検出スクリーニング法についても討議され、現時点で採用可能なものとそうではないものとが明確にされた。これらのWSでの討議結果および今までに英国が収集した情報を総括して、今年3月にEDCについての詳細な総括報告書(DRP)草案を英国が作成したことから、OECD事務局は今年4月初旬に各国のNCおよびナショナル・エキスパート(NE)にこの草案を送付した。今回のNCMでは、未だ各国からのコメントは到着していないことから、この草案についての修正は困難であるとの説明がなされ、このDRPに対するコメントは今年の9月1日までに事務局まで連絡して欲しい旨が伝えられた。次回NCMにおいては、どの既存TGにどのような検索指標を加えることによりEDCを検出可能にすることができるのか、また、EDC検出にいかなる新しいTGが必要になるか等について討議すべきであるとの合意が得られた。

6.次回NCM開催日時
 1998年12月の第一週(12/2-12/5:RAAB;Risk Assessment Advisary Bodyとの combined sessionを予定)

安全性生物試験研究センター
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