政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)が6月上旬にまとめる答申のうち、「健康・医療」と「創業」分野の原案が22日、明らかになった。健康・医療分野では、再生医療を「健康長寿への貢献や経済成長に資することが期待される」と位置付け、治療行為の一部に健康保険を適用できる「保険外併用療養費制度」の対象にするよう提案。医療のICT(情報通信技術)化の一環として、在宅など遠隔診療に対する医師の診療報酬を明確に定め、普及を促すべきだとした。
再生医療については、企業が医療機関から細胞の培養・加工を受託しやすくするため、あらかじめ双方の責任の範囲や内容を明確化し、健康被害の補償制度も整備する必要があると指摘。治験で有効性や安全性が確認できた製品には「条件・期限付き承認」を導入し、患者のニーズに応えるよう求めた。
また、医療機器について「わが国のものづくり技術が最大限に発揮される分野」と強調。民間登録認証機関などを活用して実用化への審査を加速するよう提起した。特定保健用食品などを除いて機能性を表示できない健康食品について、保健機能がある成分を一定以上含む場合には表示を認める方策を検討し、結論を得ることとした。
創業分野では、消費者の購買動向などを統計的に加工し、新たな事業に活用する「ビッグデータビジネス」の成長を見込み、個人情報保護法による利用制限の例外扱いにできるガイドラインの策定を提案。新興市場上場に必要な最低株主数基準の緩和▽老朽化したマンションの建て替えを促す区分所有権見直し▽人間と産業用ロボットの協働作業に向けた規制緩和−−なども盛り込んだ。
(毎日新聞 2013/5/23より引用)