さまざまな種類の細胞になり得る人工多能性幹細胞（ｉＰＳ細胞）などを使う再生医療を安全に推進するために、自民、民主、公明など超党派の議員が今国会に提出を目指す「再生医療推進法案（仮称）」の内容が分かった。国が研究開発から実用化までの基本方針を策定。医療関係者や事業者にも協力を求め、オールジャパンの推進体制を作る。来週にも提出する。
推進法案は国に迅速な研究開発を行い、安全性を確保する責務があると明記。基本方針を策定し、それに基づき、財政、税制上の措置や、大学などへの研究助成や環境整備を義務づけた。また国民が再生医療を受ける際の安全性の基準を設けることも盛り込んだ。一方、再生医療に使われる移植用細胞などを「再生医療製品」として速やかに実用化できるよう、薬事法上の承認を早め、審査体制も整備する。
再生医療を巡っては失明の恐れがある目の難病「加齢黄斑変性（かれいおうはんへんせい）」の患者を対象としたｉＰＳ細胞を使った臨床研究が１４年にも始まる見通し。一方で既存の法律で推進や規制を定めたものはなく、福岡市のクリニックが、韓国で禁じられた幹細胞投与を希望する多くの韓国人に行うなど、有効性や安全性の確認が不十分な民間の自由診療が「再生医療」と称して広がっている。
推進法案を土台にする形で、厚生労働省は、幹細胞治療の安全性確保のための新法や薬事法の改正案を検討中。これらも今国会での提出、成立を目指している。
（毎日新聞 2013/3/14より引用）