札幌医大(札幌市)の本望(ほんもう)修教授の研究グループは8日、脳梗塞(こうそく)患者に骨髄幹細胞を投与し、脳神経を再生させる細胞製剤治療の臨床試験(治験)を始めると発表した。患者自身の骨髄内から取り出した幹細胞を使用する再生医療の一つで、脳梗塞患者への応用は国内初。早ければ3年後に薬事法上の認可を目指す。
年間40万人以上が発症する脳梗塞は半身不随などの運動まひや、言語障害などの後遺症が残るが、有効な治療法はなく、リハビリで機能回復を図っているのが現状だ。
骨髄幹細胞は、骨髄内にある細胞の一種で、骨や心筋など他の細胞への分化が可能とされている。本望教授らが07〜09年度、脳梗塞の患者12人に患者の腰骨の骨髄液から採取した骨髄幹細胞を培養し、静脈に投与する臨床研究を実施。その結果、肘から先が動かせなかった人が物を持てるようになるなど、全ての患者の運動機能が改善し、脳梗塞の病変も小さくなったという。患者自身の細胞を使用するため、副作用も少ないという。
薬事法上の承認を得るための治験は希望者110人を対象に約2年間実施する予定。本望教授は「治療方法は点滴の要領で静脈に注射するだけ。治験は実用化に向けた最終段階で、後遺症の回復が期待できる」と話している。
(毎日新聞 2013/3/9より引用)