「再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会」に、法規制すべき医療の範囲や、安全性確保のための枠組みなどの論点整理案を示した。それによると、細胞を用いた治療や美容整形手術などを、規制すべき範囲に指定。それぞれの医療を、リスクの程度に合わせて3段階で規制し、安全性が確認されていない場合に、承認制などの、特に厳しい枠組みを適用するという。
同省は法規制の対象として、▽細胞を用いて臓器・組織の再生を目指す治療▽細胞を用いて臓器・組織の再生以外を目指す治療▽細胞を用いて臓器・組織の再生を目指す、治療目的でない医療-の3つを提案。それぞれ、iPS細胞を用いた臓器再生、樹状細胞を活性化させて体内に戻す免疫療法、脂肪幹細胞を使った豊胸手術などを例示。臓器などの再生を目指すものの、細胞を利用しないレーシック手術などは、対象外とした。
また、再生医療の臨床研究・診療の安全性を確保するための枠組みには、▽厚労相の承認を受ける第三者性が担保された有識者からなる質の高い審査委員会の意見を聞いて届け出る▽第三者性が担保された審査委員会の意見を聞いて届け出る-の3段階を示し、医療に用いる細胞の種類や採取部位、投与部位などで変わるリスクの重さに応じて振り分けるとした。
澤芳樹委員(日本再生医療学会理事)は法規制の対象について、細胞を用いた医療であれば、臓器再生や治療を目的としない場合にも、安全性確保のための基準を設けるべきだと指摘した。
規制の枠組みをめぐっては、宮田満委員(日経BP特命編集委員)が、細胞を使った医療でも、安全性が確保された場合は規制から外すべきだとして、症例の登録・追跡などで安全性を検証する仕組みの必要性を訴えた。また辰井聡子委員(立教大大学院法務研究科教授)は、承認や届け出なしに再生医療を行った場合に罰則を設けられるかどうかが「ぴんとこない」と指摘。前川平委員(京大医学部附属病院教授)も、「承認や届け出を無視して再生医療を行う医療機関などを取り締まれない恐れがある」との懸念を示した。
(CBnews 2013/1/30より引用)