福岡市の「新宿クリニック博多院」が、韓国のバイオ企業「RNLバイオ」(本社・ソウル)から紹介を受けて来日した韓国人患者に、研究段階にある幹細胞投与を実施している問題で、韓国保健福祉省は9日、「幹細胞治療剤の使用に対する国民への要請」を発表し、未許可の幹細胞治療を受けないよう呼びかけた。
要請によると同省は、海外の医療機関で幹細胞投与を受け、その過程で感染症などの問題が発生した場合、患者に対する保護が行き届かない点などを指摘。
治療を望む患者の声には理解を示しながらも、臨床試験などを通じた安全性や有効性の確立が重要だと強調し、自制を求めた。
韓国では自身の幹細胞を投与する行為を許可制にし、厳しく制限しているため、投与を希望する多くの韓国人患者が、規制のない日本に渡っている。
R社はこれに先立ち、9日付の朝鮮日報など韓国大手紙に意見広告を出し、「われわれの幹細胞技術の安全性は、既に公開的で客観的な検証を受けた」
などと主張。
「体内で今も再生作用をしている幹細胞の作用原理と効果を理解すれば、わが国の許可制度が改善されねばならないことは自明だ」と、韓国内で自由に治療が受けられるよう法改正を求めた。
韓国保健福祉省の要請はこうした動きに反応したものだ。
同省は同日、「無許可の幹細胞治療剤を広告した」としてR社を薬事法違反などの疑いでソウル中央地検に告発した。
(毎日新聞 2013/1/10より引用)