厚生科学審議会科学技術部会の「再生医療の安全性確保と推進に関する専門委員会」は26日、初会合を開き、再生医療や細胞医療を取り巻く現状について議論した。委員からは、十分に安全性が確認されていない一部の自由診療が、再生医療として横行しているとして、実態把握や国民への注意喚起などを求める声が上がった。
専門委の検討課題は、ヒトから採取した細胞や組織を加工して移植・投与し、臓器機能の再生などを図る技術が、医療として患者に実施される際の安全性確保のための枠組み。来年夏にも結論を得る見通しだ。
同日は、「再生医療」と称して、美容医療や終末期医療などの分野で自由診療を行う診療所の実態把握を求める委員が続出した。
日本再生医療学会理事の澤芳樹委員(阪大大学院教授)は、臓器機能の再生などを目的としない自由診療を再生医療として行っている医療機関について、「(中で行われている治療の)安全性が確保されていないのに、非常に高額な費用を請求し、その後、合併症を起こす例もある」と指摘。診療の内容を把握して、安全性を評価する仕組みを導入すべきだと主張した。
宮田満委員(日経BP特命編集委員)は、「もしかしたら『似非再生医療』をしている医師がすごい発見をしているかもしれないし、自由を担保するための議論もしないといけない」と述べ、「似非再生医療」自体ではなく、実態把握が進んでいないことを問題視。実態を把握するための手段の検討を提案した。
伊藤たてお委員(日本難病・疾病団体協議会代表)は、国民の再生医療への期待感の高さが「似非再生医療」を助長していると指摘。「一般の人からは、何が本当で何が似非かもわからない。マイナスと思われる面も明らかにしないといけない」と述べた。今村定臣委員(日本医師会常任理事)も、医療の提供者と患者側の専門知識の差が大きいとして、国民への説明を充実させるべきだと訴えた。
(医療介護CBニュース 2012/9/26より引用)