厚生労働省は2014年度にも、iPS細胞などを使った再生医療を特定の病院に限定する制度を導入する。京都大や慶応義塾大といった大学病院を中心に5~10の医療機関が候補になる見通し。iPS細胞の医療応用は難病を克服できる可能性がある半面、安全面などで未知な点も多い。普及期の体制を国主導で整備し、患者の安心につなげるとともに、円滑な定着を後押しする。
京大の山中伸弥教授が開発したiPS細胞は14年度以降、患者を対象にした医療応用の研究が国内で本格化する。もう一つの万能細胞、胚性幹細胞(ES細胞)も米国で応用が進んでいる。こうした再生医療は20年ごろに普及するとみられる。
20日に開く厚生科学審議会の科学技術部会に検討会を設け、新しい制度の議論を開始。約1年かけて認定する医療機関の数や条件などを決める。
万能細胞は体の様々な細胞や組織に育つが、その仕組みはよくわかっていない。治療に応用すると、副作用などで予想しない問題が生じる可能性もある。厚労省は、医療として定着するまでは研究実績が豊富で緊急事態にも対処できる人材や設備が整った病院に限ることが望ましいと判断した。
(日経新聞 2012/8/19より引用)