来日した米国立衛生研究所(NIH)のマヘンドラ・ラオ再生医療センター長は取材に応じ、米国内で新たにバイオベンチャー2社が万能細胞を使った再生医療の臨床試験(治験)を準備中だと明らかにした。
米バイオタイム(カリフォルニア州)、バイアサイト(同)の2社が受精卵から作る胚性幹細胞(ES細胞)を使った再生医療を計画している。NIHの助言も受けながら、具体的な治験計画について米食品医薬品局(FDA)と事前協議に入っているという。
バイオタイムは再生した軟骨細胞を使って、関節などが変形して痛みを伴う骨関節炎のほか、網膜の細胞を移植する目の再生医療を計画。バイアサイトはインスリンを作る膵臓の細胞を再生して糖尿病の治療を目指す。
ES細胞を使う再生医療では、米ジェロンが世界で初めて脊髄損傷を治療する治験を始めたが撤退。アドバンスト・セル・テクノロジーが目の病気で治験を実施中。「厳しい経済情勢でも次々に企業が再生医療を試みようとしている」という。
(日経新聞 2012/6/18より引用)