京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授は17日、日本経済新聞の電子版2周年フォーラムで講演し、iPS細胞による再生医療について「2020年まで全力疾走で研究を進め、新しい医学を確立させたい」と語った。実現に向けて複数の人に適合するiPS細胞をタイプ別に準備する「再生医療用iPS細胞バンク」の構築事業に今年から取り組む方針も明らかにした。
山中教授は07年に世界に先駆けて作製したヒトiPS細胞による難病治療や新薬開発の可能性に触れ、「従来法では研究が困難な様々な病気の仕組み解明や、新薬の探索、薬剤の有効性や副作用の評価に役立つと期待されている」と話した。
一方で再生医療実現への課題についても「患者自身からiPS細胞を作っていたのでは、1000万円以上の費用がかかる」と述べた。
(日経新聞 2012/5/17より引用)