人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使い、原因不明の難病「拡張型心筋症」の患者の皮膚から、心筋細胞を作成することに米スタンフォード大のチームが成功した。患者の心筋細胞を大量に作って発症のメカニズムを解明したり、開発中の薬の効果を試すことにつながる成果といえる。18日付の米医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン」に掲載された。
拡張型心筋症は、心臓の筋肉が衰えてポンプ機能が低下し、肺や全身にうっ血を引き起こす。突然死を引き起こすこともある。患者は国内に2万人程度とみられているが、補助人工心臓の埋め込みや心臓移植以外にはほとんど治療法がない。患者から心臓の筋肉を大量に採取することが難しいため、発症原因は不明な点が多く、原因究明や再生医療による治療への期待が高まっていた。
(毎日新聞 2012/4/19より引用)