マウスの新型万能細胞（ｉＰＳ細胞）から、がんの根源とされる「がん幹細胞」を作ることに岡山大の妹尾昌治教授らのチームが成功した。がん幹細胞の作製は世界初で、治療薬の開発などに役立つと期待される。１３日の米科学誌プロスワン電子版に掲載される。
がん幹細胞は、がん細胞の供給源と考えられ、脳腫瘍や乳がんのほか、食道や胃などからも見つかっている。がん組織中に数％しかなく、詳細な解析が難しかった。
妹尾教授らは、ｉＰＳ細胞を、がん細胞を培養した後の培養液で育てた。４週間後にマウスに移植したところ、ｉＰＳ細胞は悪性腫瘍に変化した。この腫瘍から未熟なまま増殖する細胞をえり分け、別のマウスに移植すると、がんができることがわかった。
宮城県立がんセンター研究所がん幹細胞研究部の佐藤賢一部長は「がん幹細胞を死滅させない限り、再発の危険がある。がん幹細胞を人工的に作ることができれば、研究が飛躍的に進む」と話している。
（読売新聞 2012/4/13より引用）