厚生労働省の専門委員会は13日、万能細胞の一種で受精卵から作るヒト胚性幹細胞(ES細胞)を使う臨床研究指針を2年後をメドに作ることを決めた。指針には受精卵提供機関、ES細胞を作製する施設、安全性の審査の基準や、インフォームドコンセント(十分な説明と同意)の手続きなどを盛り込む見通し。
ES細胞は受精卵を壊して作るので倫理的な問題があるとされ、国内では基礎研究への利用しか認めていない。臨床研究の指針はなく、治療には使えなかった。基礎研究用のES細胞は国立成育医療研究センターと京都大学が作っている。
新指針では過去に作った細胞は臨床研究に使わないと定める。また感染などの問題が出たときに備えて、誰の受精卵に由来する細胞をどの患者に使ったかを追跡できるよう記録を残しておくことも盛り込む。
国立成育医療研究センターなどはES細胞を使った先天性疾患の治療計画を立てており、新指針を待って実施を目指す。新指針はES細胞と新型万能細胞(iPS細胞)の治療効果を比べる研究なども、後押しするとみられる。
(日経新聞 2012/3/13より引用)