体重約10キロと世界最小の医療用ミニブタの開発に、静岡県畜産技術研究所中小家畜研究センター(菊川市)と実験動物繁殖会社「富士マイクラ」(富士宮市)が成功し、商業生産に向けて準備を進めている。医師の手術訓練や新薬開発、再生医療
研究などへの利用が期待される。
県によると、一般的に体重100キロ未満がミニブタとされているが、研究センターなどが開発した極小ミニブタは、成長しても体長は大きなウサギほど。性質がおとなしく、比較的小さな施設でも飼育できる。実験用ミニブタはこれまで、体重が30~40キロあり、規模の大きな飼育施設が必要だった。
2003年ごろ、富士宮市の養豚業者がペット用のミニブタを開発する過程で、突然変異により極小ミニブタが誕生。センターと富士マ社は、クローン技術を駆使しながら極小ミニブタ
とヨーロッパ系の既存ミニブタを交配し、10年11月に極小ミニブタのオス、メスの原種の安定的な生産に成功した。
雑食性のブタは、臓器や生理的特徴が人間と似ており、食用として改良されてきた経緯もあることなどから、医療分野での利用に抵抗感が薄く、欧米ではラットやマウス、小型犬に代わる実験用動物として使われつつあるという。
極小ミニブタは既に鹿児島大のグループが人間の動脈硬化の研究などに利用している。
商業生産を見据え、富士マ社の金子直樹社長(39)は「疾病の研究が前進し、1人でも多くの患者に希望が生まれることを期待したい」と話している。
(中日新聞 2012/2/14より引用)