iPS細胞づくりでウイルスを使うとき、心配されていた細胞のがん化を防ぐ方法を京都大のグループが見つけ、米科学誌で報告する。ウイルスは細胞の特定の場所に組み込まれたときにがん化するので、その場所を見張っておけばいいのだという。
iPS細胞は皮膚などの細胞に特殊な遺伝子を入れてつくる。ウイルスは、その遺伝子の運び屋として使っている。ウイルスがもつ余計な遺伝子まで細胞に組み込まれて、がんになると考えられてきた。
京大の鶴山竜昭准教授(病理学)らはマウスの白血球をがん化させて白血病にすることが知られるMLVというウイルスを調べた。他の方法に比べて遺伝子を運ぶ効率が高く、よく使われている。フランスでこのウイルスを使い遺伝子治療を受けた患者2人が白血病になったことがある。
このウイルスで白血病になったマウスの白血球をみたら、ウイルスの遺伝子は細胞の特定の3カ所を狙って入り込んでいた。ここは、フランスの遺伝子治療で起きた白血病での場所とよく似ていた。
(朝日新聞2012/2/4より引用)