マウス胎児の皮膚細胞に3種類の遺伝子を導入し、神経細胞などの前段階の神経前駆細胞に直接変えることに、米スタンフォード大の研究チームが30日までに成功した。「誘導神経前駆細胞(iNPC)」と名付けられた
この細胞は、神経細胞のほか、神経細胞を支援する「アストロサイト」、神経細胞の軸索の絶縁被覆
「髄鞘(ずいしょう)」を形成する「オリゴデンドロサイト」に分化させることができた。
髄鞘ができないマウス新生児の脳にiNPCを移植したところ、髄鞘が形成された。脳疾患や脊髄損傷の患者の皮膚細胞からiNPCを作製できれば、再生医療への応用が期待される。また、iNPCは神経細胞などに分化する能力を維持したまま増殖し続けるため、新薬候補の化合物を試す際にも利用できる。
研究成果は米科学アカデミー紀要電子版に発表される。
(時事通信 2012/1/31より引用)