「長崎大学病院(長崎市)は19日、ヒト幹細胞を用いた再生医療の臨床研究を、厚生労働省の指針が定める国への意見照会をせずに実施していたと発表した。既に研究は中止している。
病院によると、08年7月~11年7月、秋田定伯・形成外科講師や磯本一・光学医療診療部准教授のグループによる2研究で、患者の脂肪を収集し、幹細胞を含む脂肪細胞を抽出して体に戻す治療を、放射線障害などの患者17人に実施した。
厚労省の「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」では、研究施設の倫理委員会の他、国の審査も義務付けている。病院は「扱ったのはヒト分化細胞で幹細胞を豊富に含むものではなく、脂肪細胞を他の組織から分離する最小限の操作で指針の対象外と判断した」という。健康被害は確認されていない。
11年7月、金沢大の研究で手続きの不備が明らかになり、長崎大学病院でも調べた結果、判明した。
(毎日新聞 2012/1/19より引用)