独協医科大学(栃木県壬生町)は来春にも、皮下脂肪から取り出した幹細胞を体内に移植する再生医療の治療拠点を開設する。脂肪由来の幹細胞を使う再生医療は、胚性幹細胞(ES細胞)で問われる倫理的問題をクリアできるほか、新型万能細胞(iPS細胞)に比べがんになるリスクが小さいとされる。まず乳がん手術後の乳房再建の治療を始める。
再生医療センター(仮称)は大学病院(壬生町)内に開く。専任医師を置き、乳房再建のほか心臓などの血管再生、やけどや尿失禁、勃起不全(ED)の治療などへの応用を目指す。幹細胞は若いときほど再生機能が高いため、冷凍保存して高齢になった時の治療に役立てる「幹細胞バンク」の設置も検討する。
再生医療は国内では京大などを中心に研究が進む。独協医大は治療に軸足を置き「科目横断的な再生医療のクリニックを目指す」(吉田謙一郎副学長)としている。大学が設置する治療拠点はまだ少なく、東日本を中心に患者の要望に応える狙いだ。
(日経新聞 2011/12/10より引用)