高知大は29日、早産などで脳性まひとなった子供に対し、出産時にへその緒から採取した自らの臍帯血(さいたいけつ)を輸血して運動機能などの改善を目指す臨床研究を、来年2月にも始めると発表した。臍帯血中に含まれる幹細胞は既に白血病などの治療に利用されているが、脳性まひ治療に試みるのは国内では初めて。これまで果たせていない脳性まひの治療法確立につながる可能性があるという。
脳性まひは出生児1000人当たり2人の割合で発症するとされ、母胎内の胎児が何らかの原因で脳を損傷し、運動機能などに障害が出るという。
高知大の研究は、早産の危険性が差し迫っている妊婦が対象で、了解をもらって出産時に臍帯血を採取して保存する。脳性まひと診断された段階で輸血を開始して経過を見る。年間2件の治療を想定している。
同様の治療は米国のデューク大が05年に始め、8件中6件に改善効果が見られた。高知大は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)のような多能性を持つ幹細胞が、臍帯血中に存在する可能性があるとみている。
相良祐輔学長は「脳性まひの子を持つ親は、子がフォークを持てるようになるだけでも涙を流す。多くの子供たちを救うため良い研究結果が出ると信じている」と強調した。
(毎日新聞 2011/11/29より引用)