受精卵から作られ、体のあらゆる細胞になれる胚性幹細胞(ES細胞)を利用して遺伝子の働きを解析する技術を、大阪大の堀江恭二准教授らの研究グループが開発した。マウスで成功し、ヒトES細胞でも応用可能という。米科学誌ネイチャー・メソッズ電子版に24日発表した。
堀江准教授によると、遺伝子解析はマウスなどで標的の遺伝子を破壊し、影響を調べる方法が一般的。しかし、通常ペアで存在する遺伝子を二つとも正確に消失させるのは難しく、1匹のマウスで1年近くかかるなど、効率が良くなかった。
研究グループは、マウスのES細胞にレトロウイルスなどを導入し、標的の遺伝子の一方を破壊。さらに染色体間の組み換え操作でもう一方の破壊を誘発した。
ヒトのES細胞や人工多能性幹細胞(iPS細胞)から組織や臓器を作って移植する再生医療は近年、研究が進展している。遺伝子を破壊したマウスで実験する従来の方法はヒトには使えないが、ヒトES細胞で今回の方法を使えば、これまでより早く確実に遺伝子の解析が可能になり、研究促進に貢献できるという。
(時事通信 2011/10/24より引用)