先端医療センター病院(神戸市)は19日、慢性中耳炎やけがで破れた鼓膜を再生させ、聴力を回復させる治療法の臨床研究を開始すると発表した。
北野病院(大阪市)の金丸眞一部長らが開発した治療法で、他の部位からの移植が必要ないため、10分ほどの外来処置で済み、患者の負担が小さい。臨床研究では患者10人で安全性や効果を確かめ、保険診療と併用できる高度医療への申請を目指す。
鼓膜の修復は通常、耳の後ろの筋肉を包む膜を切り取って移植する。しかし、本来の鼓膜と違って厚みがあり、音が聞こえにくくなることがあるほか、数日から2週間程度入院する必要があった。
新しい治療法は、鼓膜になる幹細胞を利用。破れた鼓膜の周りをメスで少し傷つけることで幹細胞を刺激し、鼓膜の穴を塞ごうとする力を引き出す。その上で、幹細胞の増殖を促す物質をしみこませたスポンジでふたをして、乾燥と感染を防ぐ糊(のり)を数滴落とすだけ。
(読売新聞 2011/10/20より引用)