バイオベンチャーのディナベック(茨城県つくば市、長谷川護社長)は、新型万能細胞(iPS細胞)を安全で効率良く作製する技術を開発した。遺伝子を細胞に導入してiPS細胞を作る際に、新しく開発したベクター(遺伝子の運び役)を使う。臨床応用を目指す。
新しいベクターは導入した遺伝子の働きが温度によって変わるように改良したセンダイウイルスを使う。神戸先端医療振興財団先端医療センターの協力を得て、赤ちゃんのへその緒に含まれる臍帯血(さいたいけつ)の造血幹細胞に遺伝子を導入した。
その結果、従来に比べてiPS細胞の作製効率が上がり、必要な臍帯血が少なくて済む。iPS細胞には導入した遺伝子もセンダイウイルスも残らないため、がん化する危険性はないという。
研究成果は2日、米科学アカデミー紀要に掲載される。
(日経新聞 2011/8/5より引用)