様々な組織の細胞に変化できるiPS細胞(新型万能細胞)などの精製時間を大幅に短縮する装置を、ちゅうごく産業創造センター(広島市)と近畿大などが開発し、21日発表した。
大量の試料の中から100%の確率で細胞を選別、ほぼ無傷で取り出せるとしている。
iPS細胞は、皮膚細胞に複数の遺伝子を組み込んで作る。一般に1000個に1個の割合でしかできないとされ、大量の細胞の中から成功分をより分ける、効率的な方法が課題となっていた。
新装置は、1センチ四方のガラス板に、細胞を付着させる金製の点4900個を等間隔に配列。不要な細胞に反応する抗体と蛍光色素を入れて選別し、レーザー光で死滅させて除去する。
これまで5時間はかかった作業を1~2時間に縮め、温度を下げると細胞が板からはがれるようにし、傷つきにくい工夫を施している。装置の価格も500万円と従来の半額以下になる見通しという。
同大学工学部の山田康枝教授(細胞生物学)は「人体に使える安全なiPS細胞を効率よく取り出せ、再生医療の可能性が高まった」と話している。
(読売新聞 2011/6/22より引用)