産業技術総合研究所は27日、ヒトの新型万能細胞(iPS細胞)を従来の約100倍の効率で作製する技術を開発したと発表した。将来がん化する危険性も抑えられる利点がある。安全なiPS細胞を効率よく作るのは難しく、実用化には効率の向上が課題になっている。再生医療などへの応用を加速できると期待している。
新技術は「センダイウイルス」というウイルスの特殊なタイプを使い、iPS細胞を作るための4種類の遺伝子を皮膚細胞など元の細胞に組み込む。1~2%の効率でiPS細胞になり、従来の約100倍という高さという。国立医薬品食品衛生研究所や東京大医科学研究所の協力を得て開発した。
iPS細胞になった後、細胞内に残る組み込んだ遺伝子をなくす技術も開発。組み込んだ遺伝子によってがん化する恐れがあったが、新技術により安全性を高められるとしている。効率のよい作製法は、京都大やタカラバイオなども別の手法を使って開発しており、選択肢が増え応用への弾みがつきそうだ。
(日経新聞 2012/4/28より引用)