厚生労働省の「再生医療における制度的枠組みに関する検討会」は2月18日の会合で、同省が示した報告書案を大筋で了承した。報告書案では、質の高い製品を迅速に開発する方策として、確認申請を廃止し、同省が来年度予算案に盛り込んだ新規事業の「薬事戦略相談」で代替することが「適当」としている。同省は今後、委員から出た意見を踏まえて同案を修正し、年度内の取りまとめ・公表を目指す。
報告書案は、(1)有効性・安全性の評価、管理のあり方(2)質の高い製品を迅速に開発する方策―の2本柱。
(1)では、自己細胞由来製品、同種細胞由来製品共に、品目ごとに行政が承認審査や安全対策などを行う必要があると指摘。実施は薬事法の下で行うことが「現実的」とした。
また、評価を行う機関については、新たな機関を指定・設立することは現実的でないとして、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査・相談などの質の向上を進めて対応すべきと結論付けた。
(2)では、▽開発初期からのPMDAによる助言・相談制度の創設▽確認申請のあり方▽臨床研究・治験促進策▽審査の迅速化・質の向上、評価の指針の明確化など▽開発支援▽その他必要な事項―の6項目に言及。
臨床研究・治験促進策では、医師主導治験について、実施医療機関の体制整備費を補助するなどの支援や研究費の拡充により、「更に活用されることが必要」とした。
一方、確認申請のあり方と相談制度の創設については、確認申請を廃止し、薬事戦略相談で代替することが「適当」と判断した。報告書案によると、薬事戦略相談で開発初期からの相談を行うことにより、確認申請で行われている品質・安全性の確認を前倒しして実施することが可能になるという。代替に当たっては、薬事戦略相談についての周知を図るほか、確認申請の廃止と相談事業の実施の間に空白期間が生じないよう十分留意するよう求めている。
同省が来年度予算案に盛り込んだのは「日本発シーズの実用化に向けた医薬品・医療機器薬事戦略相談推進事業」(特別枠)で、計上額は9900万円。新たな医薬品や医療機器の候補となる物質や技術などの「日本発シーズ」について、データの評価などを行い、実用化に結び付けるための相談を行う。事業開始に当たっては、「薬事戦略懇談会」(仮称)を設置し、優先的な対象分野などを選定する予定だ。同省によると、相談事業の予算上の開始時期は今年7月だが、具体的なスケジュールなどは今後検討する。
この日の会合では、委員から「今動いている確認申請の案件がどのように扱われるかの記載が(報告書に)あるとありがたい」などの意見が出た。
(医療介護CBニュース 2011/2/18より引用)