CAPSULE(副作用情報)
アテノロール(テノーミン)/ベラパミル(ワソラン)による心原性ショック
The Informed Prescriber(正しい治療と薬の情報) 2001.02
徐脈−頻脈症候群,腎不全および肝硬変症の既往を有する72歳の男性が,繰り返される上室性不整脈に対してペースメーカー挿入後にベラパミル160mg/dayによる治療を開始し,約2週間後,上室性不整脈が持続するためアテノール25mg/dayを加えたところ,まもなく血圧低下と重篤な肺うっ血を来した.フロセミド,ドパミンを投与したが血圧は40mmHgにまで下がった.意識がなくなって呼吸は停止し,気管内挿管を行った.中心静脈圧は28mmHgで,左室の運動低下,重篤な低O2血症,代謝性アシドーシスを認めた.カテコラミン,重曹の投与,再三にわたる心マッサージでも血圧は上昇せず,塩化カルシウムIV投与で血圧上昇が得られた.翌日,意識を回復して人工呼吸器をはずし,状態が安定して,2週間後に退院したが,7カ月後に肝不全で死亡した.ベラパミルとアテノロールによって惹き起こされた心原性ショックの症例で,肝腎不全によるベラパミルのクリアランスの遅延と,バラパミル,アテノロールの相乗効果によって心筋抑制が増強されたものと考えられる.
Sakurai H et al. Jap. Circulation J. 64 : 893, 2000
医薬品・治療研究会編